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2025年4月2日

百日咳が増加中 〜 ワクチンの追加接種を 〜

 国立感染症研究所は、2025年3月23日までの1週間で、全国の医療機関から458人の百日咳が報告されたとの速報値を発表しました。今年に入ってからの累積数は4100人で、昨年1年間の4054人をすでに超えています。神奈川県では、2025年3月17日の時点で136人の報告があり、昨年1年間の48人をすでに超えています。主に学齢期(5〜14歳)の子どもに発生しています。

2025年3月20日

鼻腔に噴霧するインフルエンザワクチン「フルミスト」 (7月21日 一部加筆)

 鼻腔に噴霧するだけで済む(= 注射いらずの)インフルエンザワクチン「フルミスト」が2023年に日本で認可されました。当院は2024年から使用を開始しています。フルミストは2003年に米国で認可され、2011年に欧州でも認可されました。一時的な曲折(2009年に流行した新型インフルエンザに対して効果が劣ること)を経ましたが、その後に改良が進み、日本でもこのたび有効性と安全性が認められたわけです。今回は噴霧型ワクチンについて解説いたします。

2022年1月2日

ワクチンデビューは生後2ヶ月 〜改訂版〜

 子どもは風邪に何度もかかることにより、さまざまな病原体(ウイルス、細菌)に対する抵抗力(= 免疫)を獲得していきます。風邪は子どもの成長過程において避けられないものといえます。しかし病原体の種類によっては、風邪にとどまらず、生命が危機に曝されたり後遺症が残ったりする重病に進展してしまうこともあり得ます。そのような危険な病原体から子どもを守るために行われる医療がワクチン接種です。ワクチンとは、病原体を精製・加工することで病原性(毒性)を弱めたり無くしたりして、身体にとって安全な状態にした薬です。病気にかかる前にワクチンを体内に入れて、その病原体に対する免疫を作ってしまおうという仕組みです。

2021年11月14日

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨の再開

 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、接種の「積極的勧奨」を再開することが11月12日に決定されました。ワクチンをめぐる8年間の混乱がようやく収束し、ワクチン接種の再開に向けた動きがこれから加速することになります。

2021年9月23日

新型コロナワクチンの三回目接種 (9月29日 一部加筆)

 米国、英国、イスラエルなど世界に先駆けてワクチン接種を始めた国々で、ワクチンを接種したにもかかわらず新型コロナウイウルスに罹る「ブレークスルー感染」が問題になっています。その要因に、(1) ワクチン接種後の中和抗体が徐々に低下していること、(2) 逃避変異(免疫から逃れる変異)を持つデルタ株が蔓延していること、の二つがあげられています。その結果、感染予防効果が大きく低下しています。たとえば英国スコットランドの調査で、デルタ株に対する感染予防効果は79%にとどまり、それ以前に主流だったアルファ株(英国株)の92%を下回りました。他の国々でも同様の結果が出ています。ただしワクチンの効果は中和抗体(Bリンパ球による液性免疫)だけではなく、Tリンパ球による細胞性免疫も加わるため、重症化予防効果は大きく落ち込んではいません。たとえば米国における調査で、高齢者の入院阻止効果(重症化予防効果の目安の一つ)は88%の高水準を保っています。

2021年6月30日

新型コロナワクチン 若年層への接種も大切です

 東京都内の新型コロナウイルス感染者のうち、20代と30代の割合が5割を超えていることが報告されました。ワクチン接種が進む中、60代以上の感染者は減少傾向にあり、社会の中で最も活動的な若年層への感染が顕著な状況にあります。大和市でも同様の傾向が認められ、20代の感染者が突出して多くなっています。若年層は重症化しにくいという理解が広まっているほか、副反応への警戒感から、ワクチン接種に慎重な若者も少なくないようです。しかし、若年層にも後遺症に苦しむケースが散見されること、ワクチンの有効性は極めて高く重大な副反応の頻度は低いことから、筆者(玉井)は若年層の方々へのワクチン接種を強く推奨します。

2021年4月25日

新型コロナウイルスワクチン 世界と日本の接種状況

 新型コロナワクチンの接種は世界185ヶ国・地域で始まっています。世界全体の累計接種回数は、4月22日までに9億5千万回を超えました。すでに国民の半数以上が接種を終えた英国やイスラエルでは、感染者数が急減しています。

2021年2月24日

シルガード9:新しい子宮頸がん予防ワクチン

 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。日本で毎年、若年層を中心とした女性の約1万人が子宮頸がんに罹患し、約2900人が死亡しています。子宮頸がんがマザー・キラーと称される所以です。そのような状況の中、世界はHPVワクチン接種による子宮頸がん撲滅の活動を展開しています。ワクチン先進国のオーストラリア等では、子宮頸がんは10年後に「稀少がん」としてほとんど見られなくなるだろうと予測されています。一方で、先進国の中で日本だけは「ワクチンの積極的接種勧奨の一時的差し控え」という不合理な施策を数年前から続けていて、世界の潮流から完全に取り残されています。世界保健機関(WHO)は日本を名指しで、「若の女性たちが命の危険に晒されている」と非難し、接種勧奨の再開を強く求めています。

2021年1月1日

新型コロナウイルスワクチンへの期待

 新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない中、希望の持てる話題を提供したいと思います。新型コロナウイルスワクチン(以下、ワクチンと略)の最新情報です。

 日本で薬事承認申請中の米国ファイザー社製ワクチンの第三相臨床試験の成績が学術誌に掲載されました(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577)。18歳以上の約4万3千人の被験者を偽薬(プラセボ)投与群とワクチン投与群の2つに分け、約100日間の経過を追ったところ、新型コロナウイルス感染症に罹患した人は、偽薬投与群(ワクチンを接種しなかった群)で162人、ワクチン投与群で8人という結果でした。しかも、偽薬投与群では日数の経過とともに罹患者が直線的に増えたのに対し、ワクチン投与群では接種後2週間から先は罹患者がほとんど出ませんでした。ワクチンを接種することにより発症リスクを95%減らすという結論になります。「新型コロナウイルスに接した(であろう)人のうち、これまで10人だった発症者が1人以下になる」と言い換えることもできます。学術的な検証がしっかり為された説得力のあるデータです。また、米国モデルナ社製ワクチンも同様の臨床試験により、有効率94%の成績を出しています。

2019年11月24日

止めるぞ! 風疹!

 先天性風疹症候群という病気があります。妊娠初期(20週頃まで)の女性が風疹ウイルスに感染すると胎児も感染して、難聴、先天性心疾患、白内障、緑内障、成長障害、精神遅滞などを発症します。障害の発生率は妊娠初期に感染するほど高くなります。妊娠1ヶ月で50%以上、2ヶ月で35%、3ヶ月で18%、4ヶ月で8%と報告されています。風疹には症状の現れない不顕性感染が15〜30%あるため、自分の知らないうちに妊婦にうつしていたり、妊婦は風疹にかかったことに気づかなかったりして、赤ちゃんが生まれた後に病気が判明するケースも少なからずあります。

2019年4月19日

子宮頸がん予防ワクチンの現在

 子宮頸がんは女性特有のがんとして乳がんに次いで多く、日本では毎年約1万人が発症し、約2900人が死亡しています。特に若い年代(20〜40歳)に起こりやすく、結婚や妊娠・出産を迎える年代にとって大きな脅威になっています。過去10年間の年齢調整死亡率は9.6%上昇しており、他の主要な五大がん(肝臓、胃、大腸、肺、乳がん)の死亡率が低下または横這いであるのに対し、子宮頸がんだけは今なお上昇を続けています。

2018年8月19日

風疹ワクチンが胎児を障害から守る

 風疹が首都圏で急増しています。本年8月第1週までの累積患者数は96人で、昨年1年間の93人をすでに超えています。風疹にかかった人の約7割は30〜50代の男性です。予防接種歴は「不明」か「なし」がほとんどです。今回のコラムで、なぜ風疹が怖い病気か、なぜ風疹が時々流行するか、風疹を防ぐには何をすればよいか、について解説します。

2017年7月17日

細菌性髄膜炎を防ぐワクチンの効果(改訂第三版)

 2014年7月6日に掲出した記事の改訂版をお届けいたします。2015年の髄膜炎罹患率のデータが新しく追加されたのを機に、少々加筆・修正したものです。


 細菌性髄膜炎(以下、髄膜炎)は恐ろしい病気です。普段は鼻や喉にいる細菌が血液に侵入することがあり、それが脳を包む髄膜に取り付くと、最終的には脳そのものに病気を起こします。髄膜炎を発症すると、医学の進んだ現在においても、死亡率3〜5%、後遺症率20〜25%という厳しい数字が並びます。髄膜炎を防ぐワクチンが導入される前の日本では、一年間に約千人の子どもが髄膜炎に罹っていました。そのうち、ヒブによる髄膜炎が約600人、肺炎球菌による髄膜炎が約200人。二つの細菌による髄膜炎で亡くなる子どもが約50人いました。

2015年9月13日

インフルエンザワクチン 2015年 最新情報

 毎年流行するインフルエンザウイルスには4種類があります。A型2種類とB型2種類です。
   A (H1N1) … 2009年にブレークした、いわゆる新型
   A (H3N2) … 1968年以来流行が続いている、いわゆる香港型
   Bビクトリア系統
   B山形系統

2015年6月7日

おたふくかぜワクチンの大切さ

 おたふくかぜは流行性耳下腺炎(英語名 ムンプス)の別称で、小児期の代表的な感染症のひとつです。飛沫または唾液の接触により、人から人に感染します。1人の感染者が周囲の人に二次感染させる再生産数は4〜7人です。おたふくかぜは毎年地域的な小流行があり、3〜4年に一度は大規模な流行があります。前回が2010〜11年だったので、次の流行は近いと予想されます。大和市において5月頃から、おたふくかぜに罹ったと思われる児がときどき来院しています。そろそろ要注意かもしれません。

2014年7月6日

髄膜炎を予防するワクチン二種の絶大な効果

 細菌性髄膜炎(以下、髄膜炎)は恐ろしい病気です。普段は鼻や喉にいる細菌が血液に侵入することがあり、それが脳を包む髄膜に取り付くと、最終的には脳そのものに病気を起こします。髄膜炎を発症すると、医学の進んだ現在においても、死亡率3〜5%、後遺症率20〜25%という厳しい数字が並びます。髄膜炎を防ぐワクチンが導入される前の日本では、一年間に約千人の子どもが髄膜炎に罹っていました。そのうち、ヒブによる髄膜炎が約600人、肺炎球菌による髄膜炎が約200人。二つの細菌による髄膜炎で亡くなる子どもが約50人いました。

2014年5月7日

水痘ワクチンの定期接種化(2014年10月から)

 水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染で生じる病気です。VZVの感染力は非常に強く、空気・飛沫・接触などの様式で広く伝播します。家庭内の感染率は80〜90%です。主な症状は、軽度の発熱と全身の水疱疹です。水疱疹の数は250〜500個。約1週間で痂皮化して治癒に至ります。しかし、VZVは知覚神経に生涯にわたって潜伏し、免疫能が低下した時に帯状疱疹を起こします。1歳半頃までに水痘にかかると、後々に帯状疱疹を発症しやすくなります。

2013年11月10日

おたふくかぜ・水痘ワクチンの二回接種 (2013年12月29日、一部改訂)


 日本はワクチン後進国です。関係者の努力により、少しずつ世界標準に近づいていますが、それでもまだ大きく遅れをとっています。遅れの最たるものの一つは、おたふくかぜ、水痘、B型肝炎の各ワクチンが、いまだ定期接種化されていないことです。今回は、おたふくかぜワクチンと水痘ワクチンの必要性・重要性について考えてみましょう。

 おたふくかぜワクチンは、1982年に販売が開始されました。しかしその後30年以上にわたり、任意接種のまま “放置” されています。世界的にみると、国連加盟国193ヶ国中120ヶ国で定期接種化されています。先進国の目安であるOECD加盟国でみると、34ヶ国中33ヶ国で定期接種化されています。しかもそのうちの28ヶ国では、1995年以前に定期接種化されています。日本が世界標準から大きく取り残されている現状が、十分にご理解いただけると思います。

 日本におけるおたふくかぜの罹患者は、毎年数十万人にのぼると推測されます。おたふくかぜの合併症である “ムンプス難聴” の発生頻度が千人に一人とすると、毎年数百人の子どもの片耳が聞こえなくなっています。片側の難聴があると、音の方向が分からない、障害側で小さな音が聞き取れない、騒がしい場所で声が聞き取りにくい、などの不都合を生じます。おたふくかぜは後天性難聴の原因疾患の第一位です。

 水痘ワクチンは日本で開発され、1986年に販売が開始されました。しかしこちらも長らく任意接種のまま “放置” されています。世界的にみると、北米、欧州の一部(ドイツなど)、隣国の台湾や韓国などで定期接種化されています。日本は優れたワクチンを製造する能力がありながら、厚生行政の無為無策により、定期接種の機会を与えられていないのです。[追記;厚労省は2013年12月、水痘ワクチンを2014年10月から定期接種化すると発表しました。実施方法の詳細は未定ですが、1〜2歳までに一定期間をおいて2回接種することが基本になりそうです]

 水痘は軽い病気と思われがちですが、まれに脳炎や肺炎などを起こして重症化します。免疫不全の人が罹患すると重症化が著しく、ときには生命にかかわります。日本における水痘の罹患者は、毎年120〜150万人にのぼると推測されます。その中で約4000人が入院治療を要し、約20人が死亡しています。水痘に一度かかると二度かかることはまずありませんが、ウイルス自体は神経節に感染し続け、免疫能が低下した時や高齢になった時に帯状疱疹として再発症します。

 両ワクチンともに二回接種が有効です。おたふくかぜワクチンは、1歳の誕生日と就学前(MRワクチンと同じ)、水痘ワクチンは、1歳の誕生日とその4〜12ヶ月後が推奨されます。 

 予防接種は、接種を受けた本人が感染症から守られる(個人免疫効果)だけでなく、ある程度の接種率(90%以上)が達成されると、国全体の流行が鎮静化し国民全体の罹患率が低下するという素晴らしい効果があります(集団免疫効果)。保育園・幼稚園・学校での流行を根絶し、子どもたちが安心して通える環境を作りたいものです。また、免疫不全のために接種できない人、接種年齢に達していない赤ちゃんたちを守るためにも、集団免疫効果は大切です。該当年齢の子どもをお持ちの方は、接種をぜひご考慮ください。特に水痘ワクチンについて、定期接種化されるまで接種を控えることは得策とはいえません。ワクチン未接種の方は、最低限1回、有料であっても早めに接種することをお勧めいたします。

2012年11月13日

同時接種のメリットは数多ある

 本年2月にヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの公費助成が始まり、さらに11月下旬にロタウイルスワクチンの発売が決まり、乳児期早期に接種すべきワクチンの種類と回数が大幅に増えました。病気にかかりやすい年齢(月齢)に達する前に免疫を獲得するために、複数ワクチンの同時接種は今や欠かすことのできない大事な方法です。


2012年11月11日

インフルエンザワクチンの必要性

 当院はインフルエンザワクチンの接種を積極的に行っています。ワクチンに関するご質問をしばしばお受けしますので、今回のコラムではワクチンの必要性についてお話しいたします。