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2026年3月15日

ピーナッツアレルギーを予防する方法

 「パラダイムシフト」という言葉があります。その時代において当然とされていた常識、価値観、固定概念が根本的に覆り、新しい常識やものの考え方が生まれる現象をいいます。食物アレルギーの予防法の変遷は、まさにパラダイムシフトに該当します。今回のコラムでは、離乳期の赤ちゃんに与える食物(特にアレルギーを起こしやすい食物)を「できるだけ遅らせる」から「できるだけ早く与える」方針に大転換を遂げた経緯について解説いたします。

2025年7月4日

胃腸に症状が現れる食物アレルギー FPIES(エフパイス)

 食物アレルギーといえば、食物を摂取してから1時間以内に生じる皮膚症状(発赤、蕁麻疹)や呼吸器症状(咳、喘鳴)がよく知られています。即時型反応とよばれます。他方、非即時型反応の一つとして、食物を摂取してから1〜4時間後に消化器症状(嘔吐、下痢)が現れる「食物蛋白誘発胃腸炎症候群(FPIES、エフパイス)」が最近、注目を集めています。以前は稀な疾患とされていましたが、報告数が増えたことにより、2012年から食物アレルギー診断ガイドラインで扱われるようになりました。食物アレルギーとは気づかれにくいFPIESについて解説いたします。

2025年6月15日

「木の実」アレルギーが増えている

 木の実類(ナッツ類)のアレルギーを持つ子どもが近年、増えています。木の実類が菓子や惣菜に含まれていて、知らずに摂取したら重い症状を呈し、初めてアレルギーに気づいた、というケースを診る機会が時々あります。木の実類には、クルミ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ、ペカン(ピーカン)ナッツ、カカオなどがあげられます。ピーナッツは木の実類ではなく土の中に実る豆類ですが、同様に扱われることが多いです。

2024年10月25日

秋の花粉症

 花粉症といえば、春のスギ、ヒノキ(樹木花粉)が有名ですが、夏から秋にかけて飛散するブタクサ、ヨモギなどの草本花粉にも注意が必要です。とくに南関東にはブタクサやヨモギの群落が多く、患者数も多いとされています。ブタクサとヨモギは共通抗原性が高く、たとえばヨモギ花粉症の方の約90%はブタクサにも交差反応を示します。

2024年2月28日

子どもの花粉症が増えている(2013年12月の改訂版)

 花粉症は戦後に初めて報告された新しい病気です。それが今や、国民の25〜30%が罹る病気になってしまいました。子どもの花粉症も増えています。2008年に行われた全国アンケート調査では、スギ花粉症の有病率は、0〜4歳で1.1%、5〜9歳で13.7%、10〜19歳で31.4%でした。10年前の同じ調査では0〜4歳で1.7%、5〜9歳で7.2%、10〜19歳で19.7%でしたので、5歳以上で1.5〜2倍増加していることになります。

2023年3月19日

アレルギー性鼻炎を治す舌下免疫療法(再掲)

 スギ花粉の飛散がピークを迎えています。全年齢層におけるスギ花粉症の有病率が38.8%に達している現在(2019年全国調査)、鼻水やくしゃみに悩まされている方も多いのではないでしょうか。子どももその例外ではありません。2020年11月にホームページにアップしたコラムを一部改訂して再掲いたします。

2021年8月1日

食物アレルギーを意識した、離乳食の進め方

 食物アレルギーの有病率は年々増加傾向にあり、乳児で5〜10%、幼児で5%、学童期で1.5〜3%とされています。育児中の親御さんにはご心配事も多いと思われます。今回のコラムは、離乳食に関して日常診療でしばしば承るご質問にお答えする形で記します。

 [1] 食物アレルギーの発症予防に、妊娠中・授乳中の母体の食物除去は有効ですか?

 妊娠中や授乳中に母親が食物を除去しても、子どもの食物アレルギーを予防することはできません。いつもどおりの食事をお楽しみください。ただし、子どもがすでにアトピー性皮膚炎を発症している場合のみ、授乳中の食物除去により皮膚症状が軽減することがあります。

2020年5月10日

食物アレルギーの子どもに理解と支援を

 食物アレルギーは、食物に含まれる成分が体内で有害な異物と誤認されて免疫反応が起こり、生体に不都合な症状(蕁麻疹、咳、嘔吐、アナフィラキシーショックなど)をきたす病気です。免疫は本来、生体にとって有害なもの(病原体、がん細胞など)を排除する機能ですが、ここに不具合を生じると食物アレルギーを発症することがあります。

2017年3月22日

食物アレルギーの常識が変わった

[1] 予防について
 食物アレルギーの病態はこれまで十分に解明されておらず、その対処法は手探りに近い状態でした。最新の研究により、従来 “常識” とされてきた通説が次々にくつがえされ、食物アレルギーの医療に大転換が起きています。たとえば、根拠が見いだされず完全否定された “都市伝説” として、(1) 妊娠中や授乳中の母親が食物を除去すると、子どもは食物アレルギーになりにくい、(2) 離乳食の開始を遅らせたり特定の食物を除去したりすると、子どもは食物アレルギーになりにくい、があげられます。先回りして食物を除去しても、食物アレルギーの発症を予防することはできません。食物を摂取しないと ”経口免疫寛容” というアレルギー阻止機構が誘導されず、食物アレルギーがむしろ促進されます。「卵や乳製品は1歳過ぎまで待ちましょう」は、誤りであるばかりか逆効果だったわけです。離乳食を始めたら、早い時期から一種類ずつ様々な食物を試すことが食物アレルギーの予防につながります。ただし食物アレルギーを心配する場合、最初の一口は耳かき一杯程度の少量から、という慎重さは必要でしょう。

2017年1月11日

腸内細菌叢の乱れは病気を起こす

 われわれ人間の腸管内には、500種類、数百兆個、重さに換算して1〜2kgの腸内細菌が共生しています。多種多様な細菌が群生する様はお花畑(フローラ)にたとえられ、腸内細菌叢(腸内フローラ)とよばれます。

2014年10月8日

スキンケアはアレルギー全般の予防に有効か !?

 赤ちゃんの肌はとてもデリケートです。皮膚が薄く、皮脂の分泌量が少なく、角質層を構成するセラミドが少ないため、皮膚のバリア機能が十分ではありません。汗、垢、食べこぼし、微生物などの外的な刺激を受けると損なわれやすく、乾燥肌や湿疹を容易に生じます。これらの皮膚病変によりバリア機能が低下すると、ダニや食物などのアレルゲンが皮膚を通過しやすくなり、アレルギー感作の危険性が増します。近年、食物アレルギーの成立過程は、食物を摂取して消化管を通る経路よりも、皮膚から直接侵入する経路(経皮感作)の方が重要と考えられています。加水分解小麦を含む「茶のしずく石鹸」が小麦アレルギーを誘発した事件(2011年)をご記憶の方もいらっしゃると思います。

2014年4月7日

ペットとアレルギー疾患

 「ペットを飼いたいけどアレルギーが心配で …」という声をよく聞きます。診療中に質問を受ける場面も多々あります。今回は、アレルギー疾患を持つ子どもがペットを飼ってよいかどうかを考えてみましょう。

2014年3月8日

誤解の多い!? アトピー性皮膚炎 (2)

 前回のコラムで、アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用薬の有効性と安全性を述べました。もう少し具体的に使用量を説明しますと、小児で、中等度から弱めのステロイド外用薬を1日1本まで、4週間以内であれば、副作用が現れることはまずありません。実際にそんなに長く多く使うことはなく、乳児で3〜5日間、幼児で1週間きちんと塗れば、皮膚炎は改善し、以後は使用量を減らすことができます。もし変化がないとしたら、薬が弱すぎるか、副作用を恐れるあまり使用量が足りていないか、いずれかです(後者が多いと思われます)。ステロイド外用薬で早期に強力に治療し改善したら減量・中止する、その後は保湿剤などで良好な状態を維持する … これがアトピー性皮膚炎に対する治療の基本です。効果が不十分な薬をだらだら塗るよりも、しっかり効く薬を塗ってさっさと終わらせましょう。

2014年2月20日

誤解の多い!? アトピー性皮膚炎 (1)

 アトピー性皮膚炎は、長い付き合いを要する病気(または体質)です。適切な治療により皮膚の状態を良好に保つことはできますが、短期間で病気(体質)そのものを完治させることは困難です。ただし多くの場合、子どもの成長とともに自然に良くなっていきます。

 アトピー性皮膚炎の治療法の基本は、(1) 皮膚炎に対してステロイド外用薬(塗り薬)を十分に使用する、(2) 皮膚炎が改善した後は皮膚の清潔と保湿に努め(保湿薬も使用し)、皮膚炎が再燃した時だけステロイド外用薬を使用する、の二点です。近年、治療薬として、ステロイド外用薬の他にプロトピック軟膏も用いられています。しかし、ステロイド外用薬に対する誤った理解がしばしば先行し、正しい治療の妨げになっています。

2010年11月17日

きれい好きが過ぎるとアレルギー !?

 アレルギー疾患が増えています。最大の原因は環境の変化です。冷暖房完備の密閉式住宅(ダニの増加)、大気汚染、スギの植林政策、動物性蛋白を多くとる食生活は、すでによく知られた原因です。近年、これらの要素とは別に、乳幼児期に非衛生的環境にいたり感染症にかかったりするとアレルギー疾患にかかりにくい(逆にいうと、感染症にかかる機会が少ないとアレルギー疾患を発症しやすい)とする「衛生仮説」が注目を集めています。

2008年1月20日

花粉症の対策

 今年も春季カタルが始まりました。今や国民の5~10人に1人が悩まされているスギ・ヒノキ花粉症。この厄介な病気にどのように向き合えばよいでしょうか。

<アレルギーとは? 花粉症とは?>
 アレルギーとは、ある特定の物質に対して過敏に反応する現象です。アレルギーを起こす物質をアレルゲンとよびます。花粉症におけるアレルゲンの代表はスギ花粉です。スギ花粉症は日本人に特有で、近年かかる人が急増しています。増加の原因として、スギの植林政策、大気汚染、食生活や住宅環境の変化が挙げられます。スギ以外にも40~50種類の植物による花粉症が知られています。ヒノキ、シラカバなどの樹木花粉、カモガヤ、ブタクサなどの雑草花粉が代表です。花粉症はアレルギー体質の人だけがかかるのではなく、元来健康な人でも毎年花粉を浴び続けているとかかることがあります。

2007年3月1日

ダニ対策をすべての家庭で

 アレルギー疾患にかかる子どもが増えています。原因の一つは室内で発生するハウスダストです。ハウスダストとは、家の中のダニ、カビ、毛、フケ、繊維など、ホコリの総称。中でもアレルギーに深く関わるものはダニです。ハウスダストに対して過敏性を有する人々のほぼ100%が、ヒョウヒダニの死骸やフンに反応します。ダニ退治こそが、ハウスダストによるアレルギー疾患(喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎)を解決するための基本です。

2006年12月30日

アレルギー疾患の増加

 気管支喘息にかかっている幼稚園児や小中学生の割合が10年間で倍増し、過去最高を更新したことが、文部科学省の学校保健調査(平成18年度)で明らかにされました。喘息児の割合は、幼稚園2.4%、小学校3.8%、中学校3.0%、高校1.7%にのぼっています。また、今年度から調査項目に加えられたアトピー性皮膚炎の割合は、幼稚園3.8%、小学校3.6%、中学校2.8%、高校2.2%です。他の調査結果と合わせて見ると、アレルギー疾患すべて(花粉症や食物アレルギーも含めて)が増加していて、おおよその有病率は5~15%と推測されます。当クリニックにおいても、これとほぼ同じ傾向が認められます。