2021年2月24日

シルガード9:新しい子宮頸がん予防ワクチン

 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。日本で毎年、若年層を中心とした女性の約1万人が子宮頸がんに罹患し、約2900人が死亡しています。子宮頸がんがマザー・キラーと称される所以です。そのような状況の中、世界はHPVワクチン接種による子宮頸がん撲滅の活動を展開しています。ワクチン先進国のオーストラリア等では、子宮頸がんは10年後に「稀少がん」としてほとんど見られなくなるだろうと予測されています。一方で、先進国の中で日本だけは「ワクチンの積極的接種勧奨の一時的差し控え」という不合理な施策を数年前から続けていて、世界の潮流から完全に取り残されています。世界保健機関(WHO)は日本を名指しで、「若の女性たちが命の危険に晒されている」と非難し、接種勧奨の再開を強く求めています。

2021年2月15日

子どもにサプリメントは必要か?

 サプリメントは、健康の保持や増進を目的とする補助食品のひとつで、特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品と定義されます。昨今の健康ブームの影響を受けて、多種多様なサプリメントが世の中に出回っています。では、子どもにサプリメントは必要でしょうか? 結論を最初に言いますと、日本に住んでいる健康な子どもで、十分量の食事を摂っていれば、必要な栄養素はすべて食事でまかなえます。サプリメントは基本的に必要ないと思います。「今どきの野菜は栄養が少ない」などの不安を煽る文言に科学的な根拠はほとんどありません。

2021年1月26日

新型コロナウイルス/マスクの効果、ワクチンの効果

[1] マスクの効果

 インフルエンザなどの呼吸器感染症は「発症した後から周囲に感染させる」ため、感染した人だけがマスクを着用すれば十分でした。しかし新型コロナウイルスの感染力は発症3日前から5日後までが最も強く、「発症前の無症状の時期から周囲に感染させる」ため、すべての人がマスクを着用することが理にかなっています。健康そうに見えても、「自分はウイルスを保有しているかもしれない、他人にうつすかもしれない」と考えて慎重に行動していただきたいと思います。

2021年1月1日

新型コロナウイルスワクチンへの期待

 新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない中、希望の持てる話題を提供したいと思います。新型コロナウイルスワクチン(以下、ワクチンと略)の最新情報です。

 日本で薬事承認申請中の米国ファイザー社製ワクチンの第三相臨床試験の成績が学術誌に掲載されました(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577)。18歳以上の約43千人の被験者を偽薬(プラセボ)投与群とワクチン投与群の2つに分け、約100日間の経過を追ったところ、新型コロナウイルス感染症に罹患した人は、偽薬投与群(ワクチンを接種しなかった群)で162人、ワクチン投与群で8人という結果でした。しかも、偽薬投与群では日数の経過とともに罹患者が直線的に増えたのに対し、ワクチン投与群では接種後2週間から先は罹患者がほとんど出ませんでした。ワクチンを接種することにより発症リスクを95%減らすという結論になります。「新型コロナウイルスに接した(であろう)人のうち、これまで10人だった発症者が1人以下になる」と言い換えることもできます。学術的な検証がしっかり為された説得力のあるデータです。また、米国モデルナ社製ワクチンも同様の臨床試験により、有効率94%の成績を出しています。

2020年12月6日

新型コロナウイルス感染症の最新情報/学校保健、ワクチン、インフルエンザ

[1] 学校における新型コロナウイルス感染症

 文部科学省は123日、学校における新型コロナウイルス感染症の調査結果を発表しました(https://www.mext.go.jp/content/20201203-mxt_kouhou01-000004520_01.pdf)。

 学校活動が本格的に再開された61日から1125日までの間に、小学校・中学校・特別支援学校における感染者数は2079人、うち有症状者数は894人(43%)、重症者数はゼロという数値でした。全年齢層に占める小中学生の割合は非常に低く重症者がおらず、小児は成人に比べて感染しにくく感染しても重症化しにくい可能性が裏付けられています。その機序として、気管支上皮細胞で新型コロナウイルスの受容体であるACE2の発現が小児で少ないこと、自然免疫応答による防御システムが小児でより効率的であること等が仮説としてあげられています。加えて、各学校における感染拡大防止のための日々の取り組みが功を奏していると思われます。

2020年11月15日

アレルギー性鼻炎を治す舌下免疫療法

 スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎に悩む子どもが近年、増加しています。当院にも多くの患者さんが通っておられます。アレルギー性鼻炎の治療の基本は、抗アレルギー薬の内服と点鼻、アレルギーの原因物質(アレルゲンと呼称。スギ花粉、ダニ)を回避するための環境整備であり、アレルギー体質を根本的に治すことは困難とされてきました。

 根本的な治療法は、実はあります。アレルゲンを少量ずつ長期間にわたり投与して身体を慣らしていき、アレルギー反応を起こしにくい体質に変える方法です。減感作療法またはアレルゲン免疫療法と称します。かつてはアレルゲンを皮下注射で投与していましたが、注射の痛さと頻回の通院が嫌われて、普及に至りませんでした。皮下免疫療法に代わって登場したのが、アレルゲン抽出物を錠剤にして舌下に投与する「舌下免疫療法」です。注射が不要であること、自宅で治療を行えること、副作用の頻度・程度が注射よりも少ないことが利点です。舌下免疫療法はわが国で2014年に認可され、以来6年間でその評価が着実に高まりつつあります。保険適用がありますし、小児医療費助成制度も使えます。しかし一般の認知度はまだ低いのではないでしょうか。

2020年10月9日

新型コロナウイルスの最新情報/再感染、無症状者からの感染、死亡率の低下

  今冬、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行が懸念されています。現時点で今後の動向を正確に予測することはできませんが、インフルエンザワクチンを接種して流行に備えておくことは有用です。新型コロナウイルスについても、知識をアップデートして「正しく恐れる」姿勢を保つことが大切と思います。