2022年1月2日

ワクチンデビューは生後2ヶ月 〜改訂版〜

 子どもは風邪に何度もかかることにより、さまざまな病原体(ウイルス、細菌)に対する抵抗力(= 免疫)を獲得していきます。風邪は子どもの成長過程において避けられないものといえます。しかし病原体の種類によっては、風邪にとどまらず、生命が危機に曝されたり後遺症が残ったりする重病に進展してしまうこともあり得ます。そのような危険な病原体から子どもを守るために行われる医療がワクチン接種です。ワクチンとは、病原体を精製・加工することで病原性(毒性)を弱めたり無くしたりして、身体にとって安全な状態にした薬です。病気にかかる前にワクチンを体内に入れて、その病原体に対する免疫を作ってしまおうという仕組みです。

2022年1月1日

新型コロナウイルス感染症の飲み薬 国内初承認

 新型コロナウイルス感染症の飲み薬(モルヌピラビル。商品名 ラゲブリオ。メルク社)が20211224日に国内で正式承認されました。本剤はRNAポリメラーゼ阻害薬として、細胞内に侵入した新型コロナウイルスの増殖を抑える作用を有します。海外での臨床試験では、入院や死亡のリスクを約30%低下させる効果が確認されました。30%というと何となく微妙な数字に感じられるかもしれませんが、死亡例に限ると、全対象者1433人のうちモルヌピラビル群で1人(0.1%)、プラセボ(偽薬)群で9人(1.3%)であり、それなりに良好な成績と言えます。

2021年11月14日

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨の再開

 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、接種の「積極的勧奨」を再開することが1112日に決定されました。ワクチンをめぐる8年間の混乱がようやく収束し、ワクチン接種の再開に向けた動きがこれから加速することになります。

2021年9月23日

新型コロナワクチンの三回目接種 (9月29日 一部加筆)

 米国、英国、イスラエルなど世界に先駆けてワクチン接種を始めた国々で、ワクチンを接種したにもかかわらず新型コロナウイウルスに罹る「ブレークスルー感染」が問題になっています。その要因に、(1) ワクチン接種後の中和抗体が徐々に低下していること、(2) 逃避変異(免疫から逃れる変異)を持つデルタ株が蔓延していること、の二つがあげられています。その結果、感染予防効果が大きく低下しています。たとえば英国スコットランドの調査で、デルタ株に対する感染予防効果は79%にとどまり、それ以前に主流だったアルファ株(英国株)の92%を下回りました。他の国々でも同様の結果が出ています。ただしワクチンの効果は中和抗体(Bリンパ球による液性免疫)だけではなく、Tリンパ球による細胞性免疫も加わるため、重症化予防効果は大きく落ち込んではいません。たとえば米国における調査で、高齢者の入院阻止効果(重症化予防効果の目安の一つ)は88%の高水準を保っています。

2021年9月1日

新型コロナウイルス 小児への感染拡大 (9月2日 一部加筆)

 新型コロナウイルス感染症の第5波で、10歳未満の小児にも感染が拡大しています。大和市内における10歳未満児の感染者数は、本年16月の6ヶ月間に50人であったのが、78月の2ヶ月間で151人に達しています。感染力の強いデルタ株(インド由来の変異株)の蔓延がその理由です。

 小児は新型コロナウイルスに罹っても重症化しにくいと言われています。確かにその通りですが、感染者数が増えると重症者数も一定の割合で増えます。なかでも基礎疾患(肥満、慢性腎疾患、慢性肺疾患、先天性心疾患、先天代謝異常、糖尿病、免疫抑制状態など)を有する小児は重症化のリスクが高いとされており、注意が必要です。東京都内で7月、10歳未満の女児2人が重症になったと報告されました。大和市内で本年8月までに報告された10歳未満児201人の重症度は、無症状64人、軽症137人、中等症・重症0人です。

2021年8月1日

食物アレルギーを意識した、離乳食の進め方

 食物アレルギーの有病率は年々増加傾向にあり、乳児で510%、幼児で5%、学童期で1.53%とされています。育児中の親御さんにはご心配事も多いと思われます。今回のコラムは、離乳食に関して日常診療でしばしば承るご質問にお答えする形で記します。

 [1] 食物アレルギーの発症予防に、妊娠中・授乳中の母体の食物除去は有効ですか?

 妊娠中や授乳中に母親が食物を除去しても、子どもの食物アレルギーを予防することはできません。いつもどおりの食事をお楽しみください。ただし、子どもがすでにアトピー性皮膚炎を発症している場合のみ、授乳中の食物除去により皮膚症状が軽減することがあります。

2021年6月30日

新型コロナワクチン 若年層への接種も大切です

 東京都内の新型コロナウイルス感染者のうち、20代と30代の割合が5割を超えていることが報告されました。ワクチン接種が進む中、60代以上の感染者は減少傾向にあり、社会の中で最も活動的な若年層への感染が顕著な状況にあります。大和市でも同様の傾向が認められ、20代の感染者が突出して多くなっています。若年層は重症化しにくいという理解が広まっているほか、副反応への警戒感から、ワクチン接種に慎重な若者も少なくないようです。しかし、若年層にも後遺症に苦しむケースが散見されること、ワクチンの有効性は極めて高く重大な副反応の頻度は低いことから、筆者(玉井)は若年層の方々へのワクチン接種を強く推奨します。