2022年5月5日

魅力的な乳幼児健診を目指して

 乳幼児健診は、(1) 子どもの健康保持と増進、疾患の早期発見、(2) 育児にいそしむ親御さんの支援、の二つを主な目的としています。大和市内に住む子どもたちの乳幼児健診の実施時期は、生後4ヶ月、8ヶ月、16ヶ月、36ヶ月です。いずれも公費(無料)で受けられます。4ヶ月児と36ヶ月児は大和市地域医療センターにおける「集団健診」、8ヶ月児と16ヶ月児は当院を含む協力医療機関における「個別健診」の方式が採られています。本稿では、当院で行っている8ヶ月児健診と16ヶ月児健診について解説いたします。

2022年2月2日

新型コロナ:子どもへの感染拡大とワクチン接種 (2月6日 追記)

 新型コロナウイルスのオミクロン株による第6波で、子どもの感染者が急増しています。オミクロン株の特徴の一つは感染力の強さです。デルタ株の35倍とされています。家庭内にひとたび持ち込まれると、子どもにも容易に感染します。ただしオミクロン株は、症状が概して軽いことが特徴です。重症化率は、デルタ株が0.18%、オミクロン株が0.05%と推定されています。当院で診療した子どもたちにおいても、大半は軽症です。主な症状は、12日間の発熱、頭痛、倦怠感、咽頭痛です。腹痛を訴える子どももたまにいます。激しい咳、呼吸困難、全身衰弱などの重い症状はほとんど見られません。普通のかぜと見分けがつかないくらいです。わが子がぐったりしていなければ、保護者は過度に不安を抱かなくてもよいでしょう。新型コロナウイルス(オミクロン株を含めて)の治療は対症療法にとどまります。抗菌薬は効きませんし、経口治療薬(モルヌピラビル)は今のところ子どもへの適応がありません。唯一つ有効と思われる治療法は、免疫系を適度に活性化する漢方療法です。発熱の期間を約半分に短縮することが期待できます。当院は苦い薬を頑張って飲める子どもに対して漢方薬を使用しています。

2022年1月2日

ワクチンデビューは生後2ヶ月 〜改訂版〜

 子どもは風邪に何度もかかることにより、さまざまな病原体(ウイルス、細菌)に対する抵抗力(= 免疫)を獲得していきます。風邪は子どもの成長過程において避けられないものといえます。しかし病原体の種類によっては、風邪にとどまらず、生命が危機に曝されたり後遺症が残ったりする重病に進展してしまうこともあり得ます。そのような危険な病原体から子どもを守るために行われる医療がワクチン接種です。ワクチンとは、病原体を精製・加工することで病原性(毒性)を弱めたり無くしたりして、身体にとって安全な状態にした薬です。病気にかかる前にワクチンを体内に入れて、その病原体に対する免疫を作ってしまおうという仕組みです。

2022年1月1日

新型コロナウイルス感染症の飲み薬 国内初承認

 新型コロナウイルス感染症の飲み薬(モルヌピラビル。商品名 ラゲブリオ。メルク社)が20211224日に国内で正式承認されました。本剤はRNAポリメラーゼ阻害薬として、細胞内に侵入した新型コロナウイルスの増殖を抑える作用を有します。海外での臨床試験では、入院や死亡のリスクを約30%低下させる効果が確認されました。30%というと何となく微妙な数字に感じられるかもしれませんが、死亡例に限ると、全対象者1433人のうちモルヌピラビル群で1人(0.1%)、プラセボ(偽薬)群で9人(1.3%)であり、それなりに良好な成績と言えます。

2021年11月14日

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨の再開

 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、接種の「積極的勧奨」を再開することが1112日に決定されました。ワクチンをめぐる8年間の混乱がようやく収束し、ワクチン接種の再開に向けた動きがこれから加速することになります。

2021年9月23日

新型コロナワクチンの三回目接種 (9月29日 一部加筆)

 米国、英国、イスラエルなど世界に先駆けてワクチン接種を始めた国々で、ワクチンを接種したにもかかわらず新型コロナウイウルスに罹る「ブレークスルー感染」が問題になっています。その要因に、(1) ワクチン接種後の中和抗体が徐々に低下していること、(2) 逃避変異(免疫から逃れる変異)を持つデルタ株が蔓延していること、の二つがあげられています。その結果、感染予防効果が大きく低下しています。たとえば英国スコットランドの調査で、デルタ株に対する感染予防効果は79%にとどまり、それ以前に主流だったアルファ株(英国株)の92%を下回りました。他の国々でも同様の結果が出ています。ただしワクチンの効果は中和抗体(Bリンパ球による液性免疫)だけではなく、Tリンパ球による細胞性免疫も加わるため、重症化予防効果は大きく落ち込んではいません。たとえば米国における調査で、高齢者の入院阻止効果(重症化予防効果の目安の一つ)は88%の高水準を保っています。

2021年9月1日

新型コロナウイルス 小児への感染拡大 (9月2日 一部加筆)

 新型コロナウイルス感染症の第5波で、10歳未満の小児にも感染が拡大しています。大和市内における10歳未満児の感染者数は、本年16月の6ヶ月間に50人であったのが、78月の2ヶ月間で151人に達しています。感染力の強いデルタ株(インド由来の変異株)の蔓延がその理由です。

 小児は新型コロナウイルスに罹っても重症化しにくいと言われています。確かにその通りですが、感染者数が増えると重症者数も一定の割合で増えます。なかでも基礎疾患(肥満、慢性腎疾患、慢性肺疾患、先天性心疾患、先天代謝異常、糖尿病、免疫抑制状態など)を有する小児は重症化のリスクが高いとされており、注意が必要です。東京都内で7月、10歳未満の女児2人が重症になったと報告されました。大和市内で本年8月までに報告された10歳未満児201人の重症度は、無症状64人、軽症137人、中等症・重症0人です。