2006年1月13日

子どもの薬の話

 内科系(小児科、内科など)の治療の主役は「薬」です。病巣を切ることを最終的な解決手段とする外科系とは、この点が根本的に異なります。筆者は、研修医のときに先輩から「小児科医が処方する薬は外科医がふるうメスと同等の重みがある」と厳しく教わりました。今もその戒めを心して薬を決めています。筆者が子どもに薬を処方する際の方針は、「真に必要な薬をシンプルに」。あれもこれもと欲張りすぎると、量が増えて味が複雑化して飲みにくい上に、稀といえども薬物相互作用や副作用の心配が増します。今回のコラムでは、薬に関する疑問についてお答えしましょう。

2006年1月5日

ファーストフードと肥満

 わが国の肥満児は過去30年間で約3倍に増加しました。小学校高学年では8~9人あたり1人の割合です。肥満とそれに伴う生活習慣病は、今後さらに深刻度を増すことが予想されます。私事ですが、筆者は米国のセントルイス市で3年余り生活し、成人の約6割が過体重、うち3割が肥満という「肥満大国」の実態をつぶさに見てきました。米国人の問題は、生活様式の西欧化が進む日本人にとって他所事ではありません。今回のコラムでは、米国人の肥満化の元凶とされるファーストフード(fast food)を取り上げ、食習慣の問題について言及します。