2007年9月3日

子どもの薬の話(再び)

 前々回のコラム「細菌の逆襲」で、抗生物質を必要としない(あるいは効かない)場面にまで薬が安易に使われている実情と、その結果として耐性菌が猛烈な勢いで増えている危機的状況をお伝えしました。わが国の小児医療の一部において、抗生物質のほかにも薬の使い過ぎがしばしば目につきます。いくつかの実例を紹介して問題点を探ってみましょう。


2007年6月4日

細菌の逆襲 ~抗生物質の適正使用を~

 AERA(アエラ)の最新号(6月4日)に「子どもに薬が効かない」と題する記事が載っています。「抗生物質の乱用が耐性菌を増やす。耐性菌に感染すると病気が治りにくく危険である」という内容です。抗生物質は本来、細菌から身を守ってくれる特効薬のはず。いったい何が起こっているのか、検証してみましょう。

2007年5月15日

ヒブワクチンのすすめ

 インフルエンザ菌b型は、細菌性髄膜炎を起こす力を持つ細菌です。冬季に流行するインフルエンザ・ウイルスとは全く別の病原体で、両者の混同を避けるためにHib(ヒブ)と略称されます。今回のコラムでは、Hibによる髄膜炎の実態とHibを防ぐためのワクチンについて解説いたします。

2007年4月2日

保育園・幼稚園に入ったら

 4月は新年度の始まりです。保育園・幼稚園に通い始める子どもたちは、生活環境の激変に直面することになります。集団生活は、友達を作る、ルールを覚える、知識と体験を増す、などの点でとても有意義です。しかし一方で、感染症にかかりやすい不利益もあります。免疫能が未発達である乳幼児にとって、病原体に遭遇する機会の多い集団生活は、成長過程における大きな関門でもあります。

2007年3月1日

ダニ対策をすべての家庭で

 アレルギー疾患にかかる子どもが増えています。原因の一つは室内で発生するハウスダストです。ハウスダストとは、家の中のダニ、カビ、毛、フケ、繊維など、ホコリの総称。中でもアレルギーに深く関わるものはダニです。ハウスダストに対して過敏性を有する人々のほぼ100%が、ヒョウヒダニの死骸やフンに反応します。ダニ退治こそが、ハウスダストによるアレルギー疾患(喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎)を解決するための基本です。

2007年2月1日

子どもの事故は防止できる

 0歳児を除く子どもの死因の第一位は「不慮の事故」です。わが国で毎年1000人近くの子どもが事故で命を落としています。これはインフルエンザ脳症、麻疹、悪性新生物(がん、腫瘍)による死亡に比べて格段に多い数値です。事故は子どもにとって重大な健康問題であることを、保護者の方々に知っていただきたいと思います。
子どもには危険予知能力が備わっていないため、思いがけない行動をしばしばとります。「わが子に限って大丈夫」という楽観視は、根拠のない空想に過ぎません。事故はすべての子どもに「起こりうるもの」であり、親の注意によって「防ぎうるもの」です。日常の危険から子どもを守るための方策を考えてみましょう。