2012年2月24日

「健康に良い食品」には要注意

 トマトの成分に脂肪燃焼効果があると2月10日に発表、報道されて以来、トマトジュースが爆発的に売れて品薄状態に陥っているようです。学術発表の中身は「トマトに中性脂肪を減らす成分が含まれている」でしたが、これをメディアが「トマトはメタボ予防に効果あり」と言い換えて煽ったことでブームに火がつきました。しかし、トマトジュースの過剰な摂取は塩分の過多につながりますし、メタボの発症機構はきわめて複雑であって、トマトを摂取したから万事よしという単純な話ではありません。医学的な効用は眉唾物でしょう。過去に似たような事例として、寒天、納豆、ココア、にがり、バナナなどが一時的に持て囃されましたが、いずれも明確な効果を示すことなく消え去っていきました。ある種の食べ物や栄養素が健康に良いと “過大に” 評価し信奉することを「フードファディズム(food faddism)」といいます。ファドは英語で「のめり込む」という意味です。