2021年9月23日

新型コロナワクチンの三回目接種 (9月29日 一部加筆)

 米国、英国、イスラエルなど世界に先駆けてワクチン接種を始めた国々で、ワクチンを接種したにもかかわらず新型コロナウイウルスに罹る「ブレークスルー感染」が問題になっています。その要因に、(1) ワクチン接種後の中和抗体が徐々に低下していること、(2) 逃避変異(免疫から逃れる変異)を持つデルタ株が蔓延していること、の二つがあげられています。その結果、感染予防効果が大きく低下しています。たとえば英国スコットランドの調査で、デルタ株に対する感染予防効果は79%にとどまり、それ以前に主流だったアルファ株(英国株)の92%を下回りました。他の国々でも同様の結果が出ています。ただしワクチンの効果は中和抗体(Bリンパ球による液性免疫)だけではなく、Tリンパ球による細胞性免疫も加わるため、重症化予防効果は大きく落ち込んではいません。たとえば米国における調査で、高齢者の入院阻止効果(重症化予防効果の目安の一つ)は88%の高水準を保っています。

2021年9月1日

新型コロナウイルス 小児への感染拡大 (9月2日 一部加筆)

 新型コロナウイルス感染症の第5波で、10歳未満の小児にも感染が拡大しています。大和市内における10歳未満児の感染者数は、本年16月の6ヶ月間に50人であったのが、78月の2ヶ月間で151人に達しています。感染力の強いデルタ株(インド由来の変異株)の蔓延がその理由です。

 小児は新型コロナウイルスに罹っても重症化しにくいと言われています。確かにその通りですが、感染者数が増えると重症者数も一定の割合で増えます。なかでも基礎疾患(肥満、慢性腎疾患、慢性肺疾患、先天性心疾患、先天代謝異常、糖尿病、免疫抑制状態など)を有する小児は重症化のリスクが高いとされており、注意が必要です。東京都内で7月、10歳未満の女児2人が重症になったと報告されました。大和市内で本年8月までに報告された10歳未満児201人の重症度は、無症状64人、軽症137人、中等症・重症0人です。