2021年9月23日

新型コロナワクチンの三回目接種 (9月29日 一部加筆)

 米国、英国、イスラエルなど世界に先駆けてワクチン接種を始めた国々で、ワクチンを接種したにもかかわらず新型コロナウイウルスに罹る「ブレークスルー感染」が問題になっています。その要因に、(1) ワクチン接種後の中和抗体が徐々に低下していること、(2) 逃避変異(免疫から逃れる変異)を持つデルタ株が蔓延していること、の二つがあげられています。その結果、感染予防効果が大きく低下しています。たとえば英国スコットランドの調査で、デルタ株に対する感染予防効果は79%にとどまり、それ以前に主流だったアルファ株(英国株)の92%を下回りました。他の国々でも同様の結果が出ています。ただしワクチンの効果は中和抗体(Bリンパ球による液性免疫)だけではなく、Tリンパ球による細胞性免疫も加わるため、重症化予防効果は大きく落ち込んではいません。たとえば米国における調査で、高齢者の入院阻止効果(重症化予防効果の目安の一つ)は88%の高水準を保っています。

 イスラエルは世界で最も早くワクチン接種を進めた国ですが、接種率が70%台で頭打ちになっているという事情もあります。日本では少なくとも1回接種した人が67%、2回接種した人が55%で、間もなくイスラエルに追い付きます。日本におけるブレークスルー感染の報告はまだ多くありませんが、これから増えることを想定して対策を立てておく必要があります。

 対策の第一は、より多くの人たちに2回のワクチン接種を行き渡らせることです。できるだけ多くの人がワクチンを接種することが、新型コロナウイルスの流行を止める決め手になります。自分自身を守るために、そして周囲の人たちに感染させないために、ワクチン接種を「努力義務」と捉えていただけると幸いです。第二は、ワクチン接種を済ませた後も、従来どおりの感染防止対策(マスク着用、手洗い励行、三密の回避)を続けることです。ワクチンを接種したらそれで終わり、ではありません。マスクに関して、予防効果が劣るウレタン製ではなく、不織布製を使用されることをお勧めします。手洗いは、基本中の基本として徹底することが大切です。第三は、3回目のワクチン接種(ブースター接種)を行うことです。

 ブースター接種に関する科学的な検証は、上記のワクチン先行国でなされています。イスラエルにおける調査(915日発表)によると、60歳以上の高齢者に対して11倍の感染予防効果、約20倍の重症化予防効果が示されました。気になる副反応ですが、ファイザー社などから発表されている資料によると、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛などは2回目と大差ないようです。これらの動きを受けて厚生労働省は、ブースター接種を12月に開始するという想定を922日に示しました。接種間隔は2回目からおおよそ8ヶ月以上とし、対象者は医療従事者、高齢者や基礎疾患保有者、一般住民の順になる見込みです。

 新型コロナワクチンに関する副反応について少し触れておきます。ワクチンを接種すると、体内で新型コロナウイルスの蛋白質の一部分が作られます(ウイルス全体が作られるわけではありません)。それを免疫細胞が感知し攻撃し撃退します。免疫細胞はウイルスの蛋白質を「記憶」するため、後に本物の新型コロナウイルスが侵入した時に同じように攻撃し、感染や重症化を防ぎます。免疫を獲得する過程で、接種部位の腫れ・痛み、発熱、頭痛、倦怠感などが生じます。これらの症状は免疫反応がしっかり働いている証拠であり、忌まわしいものではありません。通常、接種翌日をピークに発現して数日以内に消失します。症状を緩和するためには解熱鎮痛剤が有効です。使用してもワクチンの有効性と安全性に影響はありません。小児や妊婦・授乳婦にはアセトアミノフェン(カロナールなど)が推奨されますが、一般成人はロキソニンやボルタレンも使用できます。重篤な副反応であるアナフィラキシーの発生頻度は100万回に数件で、治療法が確立しており迅速に対応すれば心配はありません。接種後1530分間の待機で異状がないことを確認してからご帰宅いただいています。会員制交流サイト(SNS)などで様々な副反応が語られていますが、多くは科学的根拠のないデマです。身体に磁石がくっつく、マイクロチップで監視されるなどは容易にウソと見破れますが、不妊・流産につながる、自閉症を引き起こすなどの風説は、一般の方々には真偽の判断が難しく不安に陥りやすい分、悪質なデマと言えましょう。

 追記(9月29日):厚生労働省のサイト「新型コロナワクチンQ&A」に、よく聞かれる7つのデマが列挙され、一つ一つに丁寧な回答が記されています。ワクチンに関して不安を持たれておられる方々は、ぜひご一覧ください(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/truth/)。

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