今回は薬に関するコラムです。誤解・誤用されがちな薬二点について解説いたします。
[1] 咳止めシール?
風邪をひいて咳をしている子どもの親御さんから「咳止めシールを貰えますか」と頼まれることがあります。「咳止めシール」と称される薬はホクナリンテープ(ツロブテロール貼付剤)です。貼るだけで済むので、薬を飲みたがらない子どもに重宝します。しかし鎮咳薬(咳止め)ではありません。喘息(または気管支炎)に対して気管支拡張薬として使用する薬です。
国内で新型コロナウイルスに感染した子どものうち、発症から1ヶ月以上たっても症状が残る割合が3.9%だったことをが、日本小児科学会の研究班から5月1日に発表されました。対象となった人は、2020年2月から2023年4月11日までにデータが集められた20歳未満の4606人です。このうちの181人に後遺症が認められました。主な症状は、発熱(30%)、咳(30%)、嗅覚障害(18%)、倦怠感(17%)、味覚障害(15%)、腹痛(9%)、頭痛(8%)、下痢(8%)、嘔気(6%)でした。数は少ないものの、筋肉痛、胸痛、意識障害、うつ状態の報告もありました。