漢方医学と聞いて、皆さんは何をお考えになるでしょうか。「何となく効きそうだ」という肯定派から、「科学的な裏づけはあるの?」という懐疑派まで、さまざまなイメージがあると推察します。漢方薬は、小児科領域で使用される頻度はまだ高くありませんが、有効性と安全性に関する評価はほぼ固まっています。西洋医学でこれといった切り札がない病気に対して、漢方医学はとても重宝します。西洋医学のアプローチを主軸にしつつ、カバーできない部分を漢方医学で補完する、というのが当院の基本方針です。
2012年12月24日
2012年11月13日
同時接種のメリットは数多ある
本年2月にヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの公費助成が始まり、さらに11月下旬にロタウイルスワクチンの発売が決まり、乳児期早期に接種すべきワクチンの種類と回数が大幅に増えました。病気にかかりやすい年齢(月齢)に達する前に免疫を獲得するために、複数ワクチンの同時接種は今や欠かすことのできない大事な方法です。
2012年11月11日
2012年9月19日
かぜでお休みする期間(第三版)
子どもたちの間で夏かぜが流行しています。かぜを起こす病原体の80~90%はウイルス、10~20%は細菌です。この目に見えない微生物は、咳やくしゃみの飛沫を介して体内に侵入すると、鼻やのどの中で急速に増殖します。病原体が最も活発に増殖する温度は、病原体の種類によって違いますが、おおむね33~34℃(一部は37℃)です。ヒトの身体は病原体の侵入を感知すると、設定体温を上げる(熱を出す)ことで病原体の増殖を抑えようとします。また、咳や鼻水を出すことで病原体を体外に追い出そうとします。かぜに伴うさまざまな症状は、身体を守るための防御反応という側面があります。さらに(これが最も大切ですが)、ヒトの身体は白血球を中心とした「免疫」を介して病原体を排除する仕組みを持っています。
2012年9月7日
熱が出る仕組み - 熱は大事な防御反応 -
子どもは風邪をひくとしばしば高熱を出します。身体のだるさを訴えたり、食欲を失ったりもします。子どものつらそうな姿を見るとつい心配になりますが、実はこれらの症状は必ずしも害毒をもたらすばかりではなく、身体を守るための大事な生体反応でもあるのです。
2012年6月29日
B型肝炎ワクチンは肝癌を予防する(改訂版)
癌(がん)の発症防止に役立つワクチンは、子宮頸癌予防ワクチン(サーバリックス、ガーダシル)だけではありません。B型肝炎ワクチン(ビームゲン、ヘプタバックス-II)も肝癌を予防する意味から、癌予防ワクチンの一つに位置づけられます。
2012年6月3日
おねしょを治すためのコツ
朝起きてみたら、布団に大きな世界地図。しまった!またやっちゃった!と気付いた時にはもう遅い。子どもの頃にそんな体験をされた方は少なくないと思います。子どもにとっても親にとっても、深刻な悩みの一つである「おねしょ」について考えてみましょう。
2012年4月1日
ワクチンデビューは生後2ヶ月
わが国で新しいワクチンが次々に導入されています。乳幼児の対象では、2008年12月にヒブワクチン、2010年3月に小児用肺炎球菌ワクチン、2011年11月にロタウイルスワクチンが新たに加わりました。さらに、古くからあるB型肝炎ウイルスワクチンの重要性があらためて注目され、今年度中に不活化ポリオワクチンが正式に認可される見通しです。また、女子中高生の対象では、2009年12月に子宮頸がん予防ワクチンが加わっています。これらのワクチンは、欧米先進国のみならず中進国や発展途上国でも “普通に” 接種されているものばかりです。効果や安全性(同時接種を含めて)は、すでに確証が得られています。ワクチン後進国だったわが国は、接種できるワクチンの種類については、ようやく他国に追い付きました。しかし、接種費用の負担についてはまだ不十分です。あらゆるワクチンが定期接種化(または公費助成)できるように、今後も国や地方自治体に働きかけていきます。
2012年3月3日
新登場「ロタウイルス ワクチン」(改訂第三版)
ロタウイルス胃腸炎は、大多数(95%以上)の子どもが5歳までに一度はかかる病気です。生後6ヶ月から2歳頃に初感染のピークがあります。低年齢でかかるほど重症化しやすく、入院治療が必要な場合もあります。日本では、年間に120万人がかかり、79万人が外来を受診し、7.8万人が入院し、10〜20人が死亡します。世界に目を向けると、年間に1.1億人がかかり、52.7万人が死亡します。子どもの胃腸炎の中で最大級の重症度です。ただし、ロタウイルスに一度か二度かかると免疫がつくので、その後はかかっても胃腸炎の症状は軽くなっていきます。
2012年2月24日
「健康に良い食品」には要注意
トマトの成分に脂肪燃焼効果があると2月10日に発表、報道されて以来、トマトジュースが爆発的に売れて品薄状態に陥っているようです。学術発表の中身は「トマトに中性脂肪を減らす成分が含まれている」でしたが、これをメディアが「トマトはメタボ予防に効果あり」と言い換えて煽ったことでブームに火がつきました。しかし、トマトジュースの過剰な摂取は塩分の過多につながりますし、メタボの発症機構はきわめて複雑であって、トマトを摂取したから万事よしという単純な話ではありません。医学的な効用は眉唾物でしょう。過去に似たような事例として、寒天、納豆、ココア、にがり、バナナなどが一時的に持て囃されましたが、いずれも明確な効果を示すことなく消え去っていきました。ある種の食べ物や栄養素が健康に良いと “過大に” 評価し信奉することを「フードファディズム(food faddism)」といいます。ファドは英語で「のめり込む」という意味です。
2012年1月4日
インフルエンザの感染予防対策
インフルエンザの流行の中心となるのは15歳以下の小児です。保育園・幼稚園・学校などの集団生活施設で集団発生し、家族を通して地域全体に広がっていきます。インフルエンザにかかると重症化しやすい高齢者や乳幼児や基礎疾患を持つ人を守るために、そして地域における流行や蔓延を抑えるために、小児の集団生活における感染対策はきわめて重要です。
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