2012年4月1日

ワクチンデビューは生後2ヶ月

 わが国で新しいワクチンが次々に導入されています。乳幼児の対象では、2008年12月にヒブワクチン、2010年3月に小児用肺炎球菌ワクチン、2011年11月にロタウイルスワクチンが新たに加わりました。さらに、古くからあるB型肝炎ウイルスワクチンの重要性があらためて注目され、今年度中に不活化ポリオワクチンが正式に認可される見通しです。また、女子中高生の対象では、2009年12月に子宮頸がん予防ワクチンが加わっています。これらのワクチンは、欧米先進国のみならず中進国や発展途上国でも “普通に” 接種されているものばかりです。効果や安全性(同時接種を含めて)は、すでに確証が得られています。ワクチン後進国だったわが国は、接種できるワクチンの種類については、ようやく他国に追い付きました。しかし、接種費用の負担についてはまだ不十分です。あらゆるワクチンが定期接種化(または公費助成)できるように、今後も国や地方自治体に働きかけていきます。

 これだけワクチンの種類が増えると、いつどのように接種してよいか分からないと戸惑う方が多いと思います。「VPDを知って子どもを守ろう」の会が推奨するスケジュールでは、生後2ヶ月でヒブ、小児用肺炎球菌、ロタ、B型肝炎の各ワクチンを同時接種して、生後3ヶ月以降につなげています。詳細は同会のホームページ(http://www.know-vpd.jp/)をご参照ください。当院のホームページのトップからもリンクしています。なお、VPDとは vaccine preventable diseases(ワクチンで防げる病気)の意味です。

 赤ちゃんは免疫力が未発達で、母親からもらった免疫が切れた後は、病原体に対して無防備な状態です。かかると重症化しやすい感染症(VPD)から赤ちゃんを守るために、ワクチンはとても重要です。また、ワクチン接種者が増えれば、社会全体からVPDを減らすことも可能になります。当院は以下の原則を掲げて、ワクチン接種を皆様に積極的にお勧めしています。

1) VPDには確実な治療法がない。時に重い合併症を生じる。だから予防が第一
2) VPDの数は多くない。予防できる病気はすべて予防しよう
3) 任意接種も定期接種と同じく重要。お金はかかるけど、子どもの健康は何よりも大切。接種する方が、結局は安心
4) ワクチンの安全性は高い。同時接種も大丈夫
5) VPDは待ってくれない。接種できる年齢になったらすぐに接種を。ワクチンデビューは生後2ヶ月で。BCGよりもヒブや小児用肺炎球菌ワクチンを先に
6) ワクチン接種の目的は二つ。自分がかからないために(もしかかっても軽く済むために)、そして、周囲の人にうつさないために

 追記(2013年3月17日)

 2013年4月から、BCGの接種期間が「生後3ヶ月以上12ヶ月未満」に延長されます。BCGよりもヒブや小児用肺炎球菌ワクチンを先に接種することをお勧めいたします。