花粉症といえば、春のスギ、ヒノキ(樹木花粉)が有名ですが、夏から秋にかけて飛散するブタクサ、ヨモギなどの草本花粉にも注意が必要です。とくに南関東にはブタクサやヨモギの群落が多く、患者数も多いとされています。ブタクサとヨモギは共通抗原性が高く、たとえばヨモギ花粉症の方の約90%はブタクサにも交差反応を示します。
ブタクサは北米原産のキク科の一年草です。明治期に渡来し、昭和期に全国に拡散しました。空き地、道端、畑の周辺に見られるほか、河川敷に群生します。開花期は8〜9月です。ヨモギは日本に古来生息するキク科の多年草です。草餅や灸の材料になります。空き地、道端、畑の周辺、河川敷など、至る所に群落を作ります。繁殖力はブタクサに勝ります。開花期は8〜10月です。ブタクサもヨモギも背丈が低く、スギやヒノキのように広範囲に花粉が飛散しません。飛距離はせいぜい数十メートルから数百メートルです。これらに近寄らないだけで十分に予防になります。
ブタクサなどの草本花粉はスギ花粉よりも粒子が小さいため、鼻だけでなく喉、気管・気管支にまで入り込みます。そのため、喉に違和感を生じたり、乾いた咳が長引いたり、気管支喘息を持つ方では喘息発作を起こしたりすることがあります。春の花粉症は鼻水や目のかゆみが主症状ですが、秋の花粉症は症状が下気道にも及ぶことが特徴です。
秋はハウスダストによる鼻炎も増える季節です。ハウスダストの正体はダニの死骸や糞です(その他、カビ、細菌、繊維の屑、人間の身体から落ちた皮膚片やフケ、ペットの毛などを含みます)。ダニは暖かく湿った環境を好み、夏に繁殖します(5〜7月がピークです)。空気が乾燥する秋になると、夏の間に降り積もったダニの死骸や糞が乾燥して粉々になり空気中に浮遊します。その結果、アレルギー症状が悪化します。
季節の変わり目は風邪を引きやすく、アレルギー症状との区別がつきにくいことがしばしばあります。咳や鼻水が止まらないときは、どうぞお気軽にご相談ください。