話す時に言葉が詰まったり同じ音を繰り返したりすることを吃音(きつおん)といいます。多くは自然に治癒しますが、成人まで持ち越すケースもあり(約100人に1人)、幼児期からの適切な対応が必要とされます。今回のコラムでは、吃音に関する情報をお伝えいたします。なお、吃音に関する詳しい知識は「吃音ポータルサイト(http://www.kitsuon-portal.jp)」「子どもの吃音 ママ応援BOOK(学苑社)」などをご参照ください。
Q1 どのようなものでしょうか
A1 吃音には三つの症状があります。① 連発 = 言葉の一部を繰り返します(例;き・き・き・きのうね)、② 伸発 = 言葉の一部を伸ばします(例;き〜〜〜のうね)、③ 難発 = 言葉を発する際に力が入り声を出しづらくなります(例;・・・っ、きのうね)。話す時に身体に力が入ったり身体の一部を動かしたりすることもあります。吃音は場面によって出たり出なかったりします。聞き手(家族、教師、友人)の反応や態度によって増強したり軽減したりします。
Q2 原因は育て方でしょうか
A2 原因は特定されていません。親の育て方が原因でないことは分かっています。子どものどもりやすい素因と周囲の環境が関わり合って、言葉の発達が活発な時期に生じると考えられています。2〜5歳に始まることが多く(約20人に1人が経験します)、約7〜8割の子どもは自然に治りますが、約2〜3割は幼児期を過ぎても続きます。
Q3 どのように対応すればよいですか
A3 「環境調整法」が最初の対処法です。必要な配慮は、自分の吃音を周囲が受け入れてくれると子どもが感じ、のびのびと安心して話せる環境をつくることです。会話のプレッシャーを減らす、否定的な態度を避けて受容的な態度で接する、子どもの自信を育てる、などが大切です。具体的には、「会話の速度を子どものペースに合わせる」「先回りしない」「途中で口をはさまない」「言い直させない」「”ゆっくり言いなさい” や “落ち着いて” などの注意をしない」「どもった時に心配そうな表情を見せない」「話しやすい言葉を用いる」などの姿勢で子どもと会話しましょう。母親だけでなく父親や祖父母を含めた周囲の人たちが対応を統一することも大切です。また、幼稚園や学校での配慮も不可欠です。担任の先生やクラスメートに吃音への理解を求め、会話の不安や緊張を軽減させ、安心して集団生活を送れるように導いてください。
Q4 いつか治りますか
A4 幼児期の吃音の約7〜8割は自然に治ります。しかし、4〜5歳(幼稚園の年中後半)を過ぎても吃音が続くようであれば、言語聴覚士のいる専門機関に相談することが勧められます。
Q5 吃音のことを本人と話題にしても大丈夫ですか
A5 「話題にすると吃音を意識して悪化させてしまう」ことはありません。子どもと吃音の話ができる関係になりましょう。親が吃音に対する理解を示す方が、子どもの気持ちは楽になります。周囲の理解は、吃音のある子どもへの応援になります。