2008年1月20日

花粉症の対策

 今年も春季カタルが始まりました。今や国民の5~10人に1人が悩まされているスギ・ヒノキ花粉症。この厄介な病気にどのように向き合えばよいでしょうか。

<アレルギーとは? 花粉症とは?>
 アレルギーとは、ある特定の物質に対して過敏に反応する現象です。アレルギーを起こす物質をアレルゲンとよびます。花粉症におけるアレルゲンの代表はスギ花粉です。スギ花粉症は日本人に特有で、近年かかる人が急増しています。増加の原因として、スギの植林政策、大気汚染、食生活や住宅環境の変化が挙げられます。スギ以外にも40~50種類の植物による花粉症が知られています。ヒノキ、シラカバなどの樹木花粉、カモガヤ、ブタクサなどの雑草花粉が代表です。花粉症はアレルギー体質の人だけがかかるのではなく、元来健康な人でも毎年花粉を浴び続けているとかかることがあります。

<子どもの花粉症の実態は?>
 1980年代の調査では「4歳以下のスギ花粉症はいない」と報告されていました。ところが2002年の全国調査では、0~2歳が0%、3~5歳が5%、6~9歳が10%、10~12歳が12%、13~15歳が15%の有病率でした。患者数が増加し、発症が低年齢化しています。

<花粉症の症状は?>
 主に目と鼻に現れます。目の症状としては、かゆみ、涙目、目やに。鼻の症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。ただし、子ども(とくに幼児)は目や鼻の不快感を病気と認識できないので、自分から「調子が悪い」とはなかなか訴えません。様々な仕草に花粉症のサインが出ているので、親には見落とさない注意が必要です。具体的には、指で鼻をこする、鼻をほじる、顔をしかめる、いびきをかく、鼻血が出やすい、指で目をこする、しきりにまばたきする、などが特徴です。さらに、鼻や目の周囲の肌荒れや赤みも要注意です。

<予防対策は?>
 花粉との接触を絶つことが基本です。対策の第一は、晴れた風の強い日(とくに雨上がりの翌日)は外出を控えることです。しかし「今日は花粉が飛んでいるから学校を休みなさい」とは言えませんね。そこで、外出時はマスク、帽子、できれば眼鏡も着用する。しかし、これも子どもにとって容易ではありません。対策の第二は、室内への花粉の侵入を防ぐことです。外出から帰ってきて家に入る前に、服や頭に付着した花粉を十分に払い落とす。家に入ったらすぐに、洗顔(眼)、うがい、鼻かみを行う。以上を心がければ外出はオーケーです。さらに、窓の開閉に気をつける、布団や洗濯物を外に干さないか、外に干す時は取り込む際に花粉を十分に払い落とす。これらを家族ぐるみで協力して行えば予防効果を期待できます。

<薬による治療法は?>
 鼻炎には経口薬(飲みぐすり)と点鼻薬(鼻ぐすり)、結膜炎には点眼薬(目ぐすり)があります。各自の症状に合わせて薬を選択いたします。目のかゆみが強い子どもには、市販の人工涙液(ソフトサンティア、アイリスCL-1など)による洗眼をお勧めいたします。
 最近、花粉が飛散する1~2週間前から薬を始める「初期療法」が注目されています。症状が悪化すると薬が効きにくくなるため、早いうちに薬を始めて症状が軽いままシーズンを乗り切ろうという算段です。毎年のように花粉症で辛い思いをする方にお勧めです。
 薬で治らない場合はレーザー治療なども考慮されます。