2021年6月30日

新型コロナワクチン 若年層への接種も大切です

 東京都内の新型コロナウイルス感染者のうち、20代と30代の割合が5割を超えていることが報告されました。ワクチン接種が進む中、60代以上の感染者は減少傾向にあり、社会の中で最も活動的な若年層への感染が顕著な状況にあります。大和市でも同様の傾向が認められ、20代の感染者が突出して多くなっています。若年層は重症化しにくいという理解が広まっているほか、副反応への警戒感から、ワクチン接種に慎重な若者も少なくないようです。しかし、若年層にも後遺症に苦しむケースが散見されること、ワクチンの有効性は極めて高く重大な副反応の頻度は低いことから、筆者(玉井)は若年層の方々へのワクチン接種を強く推奨します。

 [1] 新型コロナウイルス感染症の後遺症には様々な症状があり年齢に関係なく起こります

 新型コロナウイルス感染症の後遺症は、咳や息苦しさ、嗅覚や味覚の障害、倦怠感や頭痛、脱毛など多岐にわたります。重症化は高齢者に多いですが、後遺症は年齢に関係なく現れます。後遺症が起こる機序の第一は、新型コロナウイルス感染症の症状がそのまま持続することです。新型コロナウイルスは細胞表面に局在するACE2受容体を介して細胞内に侵入します。侵入された細胞が破壊されて臓器の機能が低下し、障害が修復されない状態が続くと後遺症が生じます。たとえば、肺の機能が低下すると咳や息苦しさが現れますし、鼻や舌の細胞が破壊されると嗅覚や味覚の障害が残ります。機序の第二は、「ウイルス後疲労症候群」といわれる身体的・精神的ストレスに起因する症状です。脱毛、集中力低下、不眠などがこれに該当します。ただし後遺症の原因には未解明な点がまだ多く、上記の二つの機序で説明しきれないケースも多々存在します。

 [2] ワクチンは接種しないよりも接種する方が、利点(メリット)が圧倒的に大きいです

 ワクチン接種を忌避する傾向は若年層に多いようです。ある調査では2割以上の人が「接種しない」と回答しています。「重症化しないのに接種する必要があるのか」「発熱や倦怠感が出るものを身体に入れたくない」「副反応、とくにアナフィラキシーが怖い」というものから、「女性は不妊になる」「遺伝子が書き換えられる」など偽情報に基づくものまで、様々な理由があげられます。それでもワクチン接種をお勧めする理由を以下に述べます。

 (1) 若年層で重症化する確率は低いですが、後遺症が現れる可能性があることは前述の通りです。 (2) 発熱や倦怠感はワクチン接種後に起こりえますが、その期間はたかだか数日間(多くは12日間)です。新型コロナウイルスに感染する方がずっと辛いはずです。ただ、若年層は免疫反応が活発なために発熱や倦怠感の出現率が高いとされています。接種後の体調不良に対するケア(周囲の人たちの理解、休暇の設定など)は必須です。また、ワクチン接種による長期間にわたる後遺症や副反応は想定されていません。 (3) 新型コロナワクチンは、mRNAという蛋白質を生成するための遺伝情報を持つ核酸で作られています。mRNAは細胞の核内に入ることができず、人の遺伝子を書き換えることは絶対にありません。mRNAは接種部位に留まった後、数日以内に分解され体内から消えてしまいます。もし新型コロナウイルスに感染すると、ウイルスは呼吸器の細胞に侵入して自身の遺伝情報(RNA)を複製し、これを全身にばらまきます。どちらが危険であるかは一目瞭然です。 (4) アナフィラキシーをゼロにすることは残念ながらできません。ファイザー製ワクチンの場合、アナフィラキシーの頻度は100万接種に約10回とされます。ワクチン接種の現場では、アナフィラキシーに備えて救急体制を整え、接種後1530分間の観察時間を設けて万全を期しています。アナフィラキシーは、たとえ起こっても適切に対処すれば後遺症なく回復させることができます。ただし過去にワクチンでアナフィラキシーを起こした方は接種を控える方が安全でしょう。 (5) アナフィラキシーの既往歴の他にも、免疫不全や抗がん剤の使用などの理由により、ワクチンを接種したくてもできない方々が一定数います。ワクチン接種率を上げることで世の中の感染拡大を抑え、ワクチン接種できない方々を守る姿勢はとても大切であると思います。 (6) 女性不妊の根拠は示されていません。ワクチンを接種した約4千人の妊婦さんの安全性に関して、先天奇形や流産・早産が増えたという報告はありません。


 なお、本解説の一部は、忽那賢志医師のブログを参考にしています。以前にもご紹介いたしましたが、忽那医師はご自身のブログで新型コロナウイルス感染症に関する科学的な論説を多数発表されています。ご一読いただければ新型コロナに関する疑問の多くが解消されると思います。皆様に推薦いたします。(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210621-00243916/)

 「新型コロナワクチンで不妊・流産はデマ」が、医師によるプロジェクト「こびナビ」で解説されています。不安を煽るデマの典型例が「自分自身の今の健康に訴えるよりも、子どもの健康、家族の健康、将来の妊娠への影響などを噂として立てること」であり、「デマを流す人の罪は大きい」との記載に、筆者も同感します。(https://news.yahoo.co.jp/articles/f0e02ed2aaac51c3b8c4d38c4412d1de1824191d

 [追記(7月4日)]忽那賢志氏のブログが更新されました。題して「若い世代は重症化しないからワクチンを接種しなくてよい、は本当か」です。本解説の主旨と一致していると思います。こちらもぜひご一読ください。(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210703-00246055/)


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