2022年1月2日

ワクチンデビューは生後2ヶ月 〜改訂版〜

 子どもは風邪に何度もかかることにより、さまざまな病原体(ウイルス、細菌)に対する抵抗力(= 免疫)を獲得していきます。風邪は子どもの成長過程において避けられないものといえます。しかし病原体の種類によっては、風邪にとどまらず、生命が危機に曝されたり後遺症が残ったりする重病に進展してしまうこともあり得ます。そのような危険な病原体から子どもを守るために行われる医療がワクチン接種です。ワクチンとは、病原体を精製・加工することで病原性(毒性)を弱めたり無くしたりして、身体にとって安全な状態にした薬です。病気にかかる前にワクチンを体内に入れて、その病原体に対する免疫を作ってしまおうという仕組みです。

 わが国は長らく「ワクチン後進国」と諸外国から揶揄されてきました。子どもが接種できるワクチンの種類が欧米諸国に比べて格段に少なかったためです。しかし最近の十数年間で新しいワクチンが次々に導入され、わが国もようやく先進国並みになりました。0歳児を対象とするワクチンには、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、四種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ)、BCGワクチンがあります。


 202010月、異なる種類のワクチンを接種する際の接種間隔のルールが変更されました。注射生ワクチン(BCG、麻疹・風疹、水痘、おたふくかぜ)を接種するときに4週間をあける以外は、間隔の制限が撤廃されました。ただし、同じ種類のワクチンを複数回接種するときは、それぞれのワクチンで定められている間隔をあける必要があります。これだけ多くのワクチンがあると、接種スケジュールを組むのが大変と思います。どうぞ当院にお気軽にご相談ください。


 ワクチンで防げる病気をVPDvaccine preventable diseases)といいます。VPDへの対処の基本的な考え方は、 (1) VPDには確実な治療法がない。生命の危機や重い後遺症が起こりうる。だから予防が第一。 (2) VPDの数は多くない。予防できる病気はすべて予防しよう。 (3) 任意接種も定期接種と同じく重要。任意接種は有料だけど、子どもの健康は何よりも大切。 (4) ワクチンの安全性は非常に高い。数種類のワクチンの同時接種も大丈夫。 (5) VPDは待ってくれない。接種できる月齢(生後2ヶ月)に達したらすぐに接種を始めよう。 (6) ワクチン接種の目的は二つ。自分がかからないために(もしかかっても軽く済むために)。そして、周囲の人にうつさないために。多くの人たちがワクチンを接種すれば、その地域での感染症の流行を無くすことができる。


 ご参考までに、「VPDを知って、子どもを守ろうの会」が作成するワクチンスケジュールをリンクいたします。https://www.know-vpd.jp/dl/schedule_age7.pdf