食物アレルギーの病態はこれまで十分に解明されておらず、その対処法は手探りに近い状態でした。最新の研究により、従来 “常識” とされてきた通説が次々にくつがえされ、食物アレルギーの医療に大転換が起きています。たとえば、根拠が見いだされず完全否定された “都市伝説” として、(1) 妊娠中や授乳中の母親が食物を除去すると、子どもは食物アレルギーになりにくい、(2) 離乳食の開始を遅らせたり特定の食物を除去したりすると、子どもは食物アレルギーになりにくい、があげられます。先回りして食物を除去しても、食物アレルギーの発症を予防することはできません。食物を摂取しないと ”経口免疫寛容” というアレルギー阻止機構が誘導されず、食物アレルギーがむしろ促進されます。「卵や乳製品は1歳過ぎまで待ちましょう」は、誤りであるばかりか逆効果だったわけです。離乳食を始めたら、早い時期から一種類ずつ様々な食物を試すことが食物アレルギーの予防につながります。ただし食物アレルギーを心配する場合、最初の一口は耳かき一杯程度の少量から、という慎重さは必要でしょう。
2017年3月22日
2017年2月11日
幼児の便秘 〜 排便習慣は大切です 〜
便秘とは「便が腸内に滞って、出にくい状態」です。排便が週3回より少なかったり、排便時に痛みや出血を伴ったりすれば、便秘といえます。排便時に苦痛を感じると、子どもは排便を我慢して回避しようとします。便が腸内に滞ると水分が吸収されて硬くなり、排便時の苦痛がさらに増します。すると排便をますます我慢するようになります。便が常に溜まった状態になると腸管が拡張し、便意を感じる神経が鈍ります。そして便はさらに大量に腸内に溜まります。こうして便秘は悪循環していきます。幼児期に便秘を生じると、約4割が学齢期になっても便秘に悩まされ続けます。できるだけ早い時期の対処が望まれます。
2017年1月11日
腸内細菌叢の乱れは病気を起こす
われわれ人間の腸管内には、500種類、数百兆個、重さに換算して1〜2kgの腸内細菌が共生しています。多種多様な細菌が群生する様はお花畑(フローラ)にたとえられ、腸内細菌叢(腸内フローラ)とよばれます。
2017年1月1日
北オホーツク100kmマラソン 完走記
新年おめでとうございます。本年も地域の子どもたちの健康増進に貢献してまいります。皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。
昨年7月31日、北オホーツク100kmマラソンに出場しました。42.195kmより長い距離を走るのは初めての経験でした。苦難に満ちた道中でしたが、大きな達成感を得ることもできました。年頭のコラムは、その時の心象風景を書き留めたものです。神奈川県医師会報の「平成29年 新春随想増刊号」に掲載された文章に一部、加筆しています。医学・診療とは関係のない駄文ですが、お時間が許せばご一読ください。
2016年12月12日
2016年10月26日
予防接種を上手に受けるコツ
近年の小児医療は「治療から予防へ」と大きな転換期に入っています。予防接種の種類が増加したことに反比例して、重い感染症に罹患する子どもの数が大幅に減少しました。たとえばヒブ髄膜炎は、2011年にワクチンが定期接種化されて以来、ほぼゼロになりました(それ以前は毎年50人前後の子どもが亡くなっていました)。予防接種は今や、子どもの健やかな成長に欠かせない重要なアイテムです。しかし子どもにとっては、痛い注射の本数や回数が増えるのは大変なこと。特に1〜2歳を過ぎて物事がはっきり分かる年頃になると、注射を怖がったり嫌がったりして親御さんを困らせることもしばしばです。今回は、注射を上手に受けるコツを伝授しましょう。
2016年8月30日
麻疹騒動に学ぶ、集団免疫の大切さ
2016年の夏、二つの麻疹(はしか)騒動が持ち上がりました。一つは千葉県松戸市での小流行です。7月22日からの1ヶ月間で麻疹患者10名が報告されました。年齢は0歳3名、1歳2名、4歳1名、6歳1名、15歳1名、20代1名、30代1名です。10名中9名(1歳の1名以外)は、麻疹ワクチンを接種していませんでした。患者から検出されたウイルスは、海外由来の遺伝子型で一致しています。全員、海外渡航歴がないため、市内で感染したと考えられます。発端者は発見できませんでした。ここで問題視されるのは4歳以上の5名です。ワクチンを接種していれば自ら罹ることはなく、周囲の人に感染させることもなかったはずです。もう一つは、千葉市の幕張メッセで起こった麻疹の持ち込みです。同地で開催された大規模コンサートに、麻疹を発症している19歳男性が参加していました。この男性は関西在住で、8月9日に発熱、13日に発疹を生じ、後に麻疹と診断されました。8月初旬にバリ島を旅行しており、この時に感染したと推測されます。コンサートのみならず、その前後(13〜15日)に東京や鎌倉を訪れていました。この男性は6人家族で、誰一人として麻疹ワクチンを接種しておらず、家族3人も麻疹を発症しています。
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