2017年2月11日

幼児の便秘 〜 排便習慣は大切です 〜

 便秘とは「便が腸内に滞って、出にくい状態」です。排便が週3回より少なかったり、排便時に痛みや出血を伴ったりすれば、便秘といえます。排便時に苦痛を感じると、子どもは排便を我慢して回避しようとします。便が腸内に滞ると水分が吸収されて硬くなり、排便時の苦痛がさらに増します。すると排便をますます我慢するようになります。便が常に溜まった状態になると腸管が拡張し、便意を感じる神経が鈍ります。そして便はさらに大量に腸内に溜まります。こうして便秘は悪循環していきます。幼児期に便秘を生じると、約4割が学齢期になっても便秘に悩まされ続けます。できるだけ早い時期の対処が望まれます。

 便秘のほとんどは、原因を特定できない体質的なものです。しかし、性急なトイレット・トレーニングが心理的圧迫になり、便秘の原因を作ることがあります。トイレット・トレーニングは、便秘が治ってから無理なく始めましょう。自宅以外(保育園、幼稚園など)でトイレに行けない繊細な性格が、心理的圧迫になっている場合もあります。自宅以外のトイレで嫌がらずにリラックスできる環境づくりが求められます。間食(菓子、ジュースなど)が多すぎて食事の摂取量が減り、食事中の繊維質が不足することも便秘の原因の一つです。日々の食習慣を今一度、見直してみることが大切です。

 便秘の対策は大きく分けて三つあります。いずれも時間がかかりますが、焦らず根気よく取り組んで下さい。特に (1) と (2) は、便秘が治った後もずっと続けていきましょう。
 (1) 生活習慣・排便習慣を見直す … ゆとりのある時間帯にトイレに座る習慣をつけることが大切です。一日のうちで腸管の運動が最も活発になるのは朝食後です。早寝・早起きを心がけ、朝食をゆっくり摂り、登園するまでの間にゆっくりトイレに座れる時間を確保しましょう。便意を感じたら我慢せずにトイレに行くことも大切です。自宅だけでなく、保育園・幼稚園でもストレスなくトイレに行けるように、周囲が配慮してあげて下さい。
 (2) 食習慣を見直す … 間食の摂りすぎはいけません。一日三食(特に朝食)をしっかり食べましょう。野菜・果物・海藻・芋類・豆類・茸類など繊維質の多い食物は、腸管の動きを刺激して排便を促します。繊維質をたくさん摂るには、和食が最も適します。また、食欲を増進させるためには適度な運動が必要です。子どもを外で元気よく遊ばせて下さい。
 (3) 下剤や浣腸を必要に応じて使用する … 便秘用の薬(下剤)には、便を軟らかくしたり腸管の動きを活発にしたりする働きがあります。便塊が貯留している時は浣腸も使用します。下剤や浣腸は、正しく使えば依存性を生じることはありません。むしろ便秘を癖にしてはいけません。排便時の苦痛がなくなり、規則的な排便習慣が確立し、排便が自立したら、治療は完了です。薬の必要性については、かかりつけ医に相談しましょう。

 「キラキラうんち」という言葉があります。① 朝、コップ1杯の水を飲む、② 朝食を好き嫌いなく、よく噛んで、もりもり食べる、③ 外で元気よく遊ぶ、などがキラキラうんちをするためのポイントです。「うんち日記」をつけることが、モチベーションの向上につながる場合もあります。子どもたちのために周りの大人ができることは、健康な身体を作る手助けをすることです。排泄を軽視せず、大切な習慣と認識していただければと思います。