[1] 服用時間(食前、食後)は必ず守らなければいけませんか?
食後服用が一般的ですが、小児の急性疾患で用いる薬剤の多くは、食前投与と食後投与で効果に大差ないと思われます。体調が悪くて食事をとれなくても、薬を飲んで構いません。
いくつかの例外はあります。解熱鎮痛薬は、胃粘膜を傷める可能性があるため、食後の服用が推奨されています。ただし、小児で頻用されるアセトアミノフェン(カロナール、コカール)は胃粘膜を傷めにくく、空腹で服用することも可能です。制吐薬(ナウゼリン)は、胃内に食物が入った時点で効くように、食前に服用することが望ましいです。抗インフルエンザ薬のタミフルは、空腹時に服用すると吐き気を催すことがあるため、何かを少し食べてから飲む方が安心です。
[2] 一日三回投与の場合、一回の間隔は最低何時間あければいいですか?
薬剤により異なりますが、多くの場合4〜6時間の間隔をあければ大丈夫と思われます。
[3] 服用後に吐いた時はもう一度与えていいですか?
薬の大部分は小腸で吸収されます。胃の内容物が小腸に届くまでに30分以上を要します。したがって、服薬後30分以内に嘔吐した場合、飲んだ薬の大部分はまだ小腸に達していないため、薬を再投与しても問題はないと考えられます。服薬後30分以上たっている場合、薬はすでに血液中に吸収されているため、再投与は勧められません。
同様に、坐剤を入れて30分以内に排出された場合、再投与してよいと考えられます。ただし、解熱薬(アンヒバ、アルピニ)や制吐薬(ナウゼリン)などは、効果が現れるかどうかを30〜60分ほど観察した上で、再投与の適否を決めてもよいと思います。
[4] 薬の保管はどのようにすればいいですか?
シロップ剤は、冷所保存で2〜3週間が限度と考えられます。もしも変色や混濁が生じた場合、薬の力価低下や細菌による汚染の危険があるため使用すべきではありません。
散剤は、吸湿性が高いため冷蔵庫保存は不向きで、密封容器や空き缶に乾燥剤と一緒に入れて、陽の当たらない涼しい室内で保管してください。数種類を混合した散剤の場合、3〜6ヶ月間が保存期間の限度と考えられます。もしも湿潤・着色・変色など生じた場合は、使用すべきではありません。また、このような薬剤はその時々の病態に応じて作られたものであり、別の病気に流用してよいかどうかは考える必要があります。包装されている単剤(シングレア、キプレス、漢方薬、アレロックなど)は、1年間は保管できます。
坐剤は、冷所保存で1年間は保管できます(アンヒバは冷所。ナウゼリンは室温でも保存可能)。一度溶けてしまった坐剤は、冷やせば元の形に戻りますが、成分が変質することがあるため使用すべきではありません。
点眼薬の大部分は、開封前は室温保存です。開封後はしっかり蓋をして保存袋に入れて、冷蔵庫に保管することをお勧めします(リザベン点眼は室温保存)。
[5] ジュースや牛乳に混ぜて薬を飲んでもいいですか?
グレープフルーツジュースには薬物代謝を阻害する成分が含まれているため、薬と同時に飲んではいけません。ただし、阻害を受けやすい薬の多くは成人に使用されるものです(高血圧薬、不眠症治療薬、免疫抑制薬、高脂血症治療薬など)。
オレンジジュースやスポーツドリンクなどの酸性飲料は、ドライシロップ製剤のコーティングをはがして苦味が増す原因になります。クラリス、ジスロマックなどは酸性飲料と一緒に飲まない方がいいと思います。
牛乳は、一部の抗菌薬の消化管からの吸収を低下させます。ミノマイシン、オゼックス、クラビットなどは、牛乳と同時に飲んではいけません。
[6] 飲みにくい散剤をうまく飲ませる方法はありますか?
これまでに一番良かったという方法が確実です。参考までに、いくつかの方法を挙げます。
1) 液体に混ぜて飲ませる(乳幼児〜年長児)
薬を袋内の一方に寄せる → スポイトで少しずつ液体を入れ、固まらないよう手早く混ぜる → スポイトで吸い上げる → 舌の半分以上奥に入れて手早く飲み込ませる → 褒めたうえで口直しの好物を与える(年長児)
2) 口腔内にすりこむ(母乳栄養児)
保護者は指を洗う → 人差し指を水にぬらす → 薬を指先につける → 頬の裏側や上口蓋にぬる → 母乳を与えて薬も飲ませる
3) 団子にして飲ませる(年長児)
3) 団子にして飲ませる(年長児)
保護者は指を洗う → 少量の液体を加えて団子にする → 舌の半分以上奥に入れて水分を与え飲み込ませる → 褒めたうえで口直しの好物を与える
4) その他(1〜3の方法で飲めない場合)
・ シロップ剤を飲む時にストローを使用してもいいです。
・ 散剤はオブラートに包むか、かき氷用のシロップや服薬ゼリーに混ぜて服用させると飲みやすくなります。バナナペースト、アイスクリーム、水飴、カスタードクリーム、コンデンスミルクなど、ねっとりしたものに混ぜてもいいです。基本的には何に混ぜても薬の効
果は損なわれません。
話を理解できる年齢の子どもには、「なぜ薬を飲まなければいけないか」を説明して薬を与えましょう。騙したり脅したりして強引に与えると、次からは飲もうとしなくなります。頑張って飲んだ後、褒めることも忘れずに。
果は損なわれません。
話を理解できる年齢の子どもには、「なぜ薬を飲まなければいけないか」を説明して薬を与えましょう。騙したり脅したりして強引に与えると、次からは飲もうとしなくなります。頑張って飲んだ後、褒めることも忘れずに。
※ 参考文献;小児内科/薬に関する素朴な疑問 p.225-7