わが国で新しいワクチンが次々に導入されています。乳幼児の対象では、2008年12月にヒブワクチン、2010年3月に小児用肺炎球菌ワクチン、2011年11月にロタウイルスワクチンが新たに加わりました。さらに、古くからあるB型肝炎ウイルスワクチンの重要性があらためて注目され、今年度中に不活化ポリオワクチンが正式に認可される見通しです。また、女子中高生の対象では、2009年12月に子宮頸がん予防ワクチンが加わっています。これらのワクチンは、欧米先進国のみならず中進国や発展途上国でも “普通に” 接種されているものばかりです。効果や安全性(同時接種を含めて)は、すでに確証が得られています。ワクチン後進国だったわが国は、接種できるワクチンの種類については、ようやく他国に追い付きました。しかし、接種費用の負担についてはまだ不十分です。あらゆるワクチンが定期接種化(または公費助成)できるように、今後も国や地方自治体に働きかけていきます。
2012年4月1日
2012年3月3日
新登場「ロタウイルス ワクチン」(改訂第三版)
ロタウイルス胃腸炎は、大多数(95%以上)の子どもが5歳までに一度はかかる病気です。生後6ヶ月から2歳頃に初感染のピークがあります。低年齢でかかるほど重症化しやすく、入院治療が必要な場合もあります。日本では、年間に120万人がかかり、79万人が外来を受診し、7.8万人が入院し、10〜20人が死亡します。世界に目を向けると、年間に1.1億人がかかり、52.7万人が死亡します。子どもの胃腸炎の中で最大級の重症度です。ただし、ロタウイルスに一度か二度かかると免疫がつくので、その後はかかっても胃腸炎の症状は軽くなっていきます。
2012年2月24日
「健康に良い食品」には要注意
トマトの成分に脂肪燃焼効果があると2月10日に発表、報道されて以来、トマトジュースが爆発的に売れて品薄状態に陥っているようです。学術発表の中身は「トマトに中性脂肪を減らす成分が含まれている」でしたが、これをメディアが「トマトはメタボ予防に効果あり」と言い換えて煽ったことでブームに火がつきました。しかし、トマトジュースの過剰な摂取は塩分の過多につながりますし、メタボの発症機構はきわめて複雑であって、トマトを摂取したから万事よしという単純な話ではありません。医学的な効用は眉唾物でしょう。過去に似たような事例として、寒天、納豆、ココア、にがり、バナナなどが一時的に持て囃されましたが、いずれも明確な効果を示すことなく消え去っていきました。ある種の食べ物や栄養素が健康に良いと “過大に” 評価し信奉することを「フードファディズム(food faddism)」といいます。ファドは英語で「のめり込む」という意味です。
2012年1月4日
インフルエンザの感染予防対策
インフルエンザの流行の中心となるのは15歳以下の小児です。保育園・幼稚園・学校などの集団生活施設で集団発生し、家族を通して地域全体に広がっていきます。インフルエンザにかかると重症化しやすい高齢者や乳幼児や基礎疾患を持つ人を守るために、そして地域における流行や蔓延を抑えるために、小児の集団生活における感染対策はきわめて重要です。
2011年9月11日
放射線の最新情報 ~大和市域を中心に~ (10月11日に情報を追加しました)
東日本大震災から半年が経ちました。被害に遭われた方々に、衷心よりお見舞いを申し上げます。同時に起こった福島第一原発事故の影響は今なお深刻です。しかし、回復の兆しも見え始めています。現時点で判明している放射線の情報を皆様にお伝えいたします。主な情報源は「日本保健物理学会」「日本原子力学会」「放射線から子どもの命を守る」等です。
2011年9月1日
ワクチンで子宮頸癌を予防する(改訂第二版)
ワクチンは感染症を予防するばかりでなく、癌(がん)の発症防止にも役立っています。ここに紹介する「2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(サーバリックス)」は、女性の子宮頸癌を予防する画期的なワクチンです。
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