クリニックが休みの時に、子どもが急に熱を出したり吐いたりしたら・・・「すぐに救急外来に連れて行くべきか」それとも「明日まで待っても大丈夫か」の判断に迷った経験をお持ちの方は少なくないでしょう。今回のコラムでは、小児救急の仕組みと救急への受診の目安をお伝えいたします。
2009年1月8日
2008年11月4日
2008年10月1日
経口補水療法は「飲む点滴」
急性胃腸炎は、消化管に病原体が侵入することで、吐いたり下痢をする病気です。消化管が未熟な乳幼児では、激しい下痢や嘔吐が続いた末に、体内から水分と塩分が失われて脱水に陥ることがよくあります。脱水をいかに防ぐかが、急性胃腸炎の治療のポイントです。ノロウイルスやロタウイルスが流行する時期に先がけて、脱水の防止法を学びましょう。
2008年9月7日
ワクチンで防げる病気
わが国の小児医療は世界の中で最高水準を誇っていますが、ワクチンで防げる病気(VPD)の排除・制圧にかぎっては大きく遅れをとっています。先進国中、最低の水準です。ワクチンの普及を妨げる最大の要因は、「ワクチン=副作用が怖い」という思い込みでしょう。病気には自然にかかる方がよいという誤解、効果への疑問、接種に要する費用の高さ、わが国で接種可能なワクチンの種類の少なさ、なども要因にあげられます。ある調査では、7割を超える保護者が「任意接種は必ずしも受けなくてよい」と答えています。
2008年8月3日
2008年7月6日
急増する百日咳
百日咳は、主に乳幼児の間で流行する呼吸器感染症です。1歳未満の乳児が百日咳にかかると生命に危険が及ぶため、古来よりワクチンによる制圧が進められてきました。現在、三種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳 = DTaP)の接種率は95%を超え、百日咳にかかる乳幼児の数は激減しています。ところが、数年前から成人の間で百日咳の報告が増え始め、乳幼児への影響が懸念される事態に陥っています。昨年、四国の2大学で百日咳の流行的多発がみられたことは、皆様のご記憶にもあることと思います。
なぜ成人の百日咳が増えているのでしょうか。百日咳に対するワクチンの免疫効果は5~10年で減衰します。そのため、成人になると百日咳にかかりやすくなる人がいます。さらに「成人も百日咳にかかることがある」という認識が世の中に広まり、これまで見逃されていたケースが正しく診断されるようになりました。百日咳は決して過去の病気ではありません。
海外でも1990年代から、成人における百日咳の増加が問題になっていました。そのため、米国、カナダ、フランス、ドイツなどは、10代の青年に対する改良型・三種混合ワクチンの追加接種を数年前から実施しています。しかし日本は、百日咳を除いた二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)を11~12歳時に追加接種する、従来の方式にとどまっています。百日咳ワクチンが除かれる理由は、現行のワクチン0.5mlを青年や成人に接種すると、注射部位の発赤や腫脹などの副反応が強く現れやすいことです。第二の理由は、成人が百日咳にかかっても自身の生命が脅かされる危険性はきわめて低いからです。
上記の欧米諸国では、百日咳ワクチンの副反応を減じた改良型ワクチン(Tdap)が開発され使用されています。しかし日本では今のところ、Tdapの製造も輸入も予定されていません。おそらく今後も早急な対応はなされないだろうと悲観しています。
成人の百日咳が重症化しなくても、それをうつされた乳幼児は大変です。特にワクチン未接種の子どもが百日咳にかかると、顔を真っ赤にして「コンコンコンコン」と立て続けに咳き込み(スタッカートと称します)、その後に「ヒューッ」と音をたてて息を吸い込む動作をします(ウープと称します)。激しい咳き込みのために顔はむくみ、点状出血斑が顔や上半身に現れます。無呼吸発作を起こして命を落とすケースもあります。肺炎や脳症の合併例もときに見られます。百日咳は乳幼児にとって恐ろしい病気です。昨年の米国小児感染症学会誌によりますと、乳幼児の百日咳の感染源の70%は両親や親戚など身内の成人です。成人の予防措置と発症したときの早期診断・治療は緊急の課題といえます。
成人の百日咳は、乳幼児ほど重くならず、典型的なスタッカートやウープはほとんど生じません。熱も出ません。血液検査を行っても、かかっているかどうか曖昧なケースさえあります。百日咳を疑う手がかりは、2週間以上の長引く咳に加えて、突然の激しい咳き込み、咳き込みによる嘔気・嘔吐などです。元気があるからと言って咳を長らく放置せずに、必ず医療機関を受診しましょう。特に子どもと接する機会の多い方は、ご自身の健康だけでなく子どもの健康にも留意すること、つまり「感染源にならない」配慮が強く求められます。
なぜ成人の百日咳が増えているのでしょうか。百日咳に対するワクチンの免疫効果は5~10年で減衰します。そのため、成人になると百日咳にかかりやすくなる人がいます。さらに「成人も百日咳にかかることがある」という認識が世の中に広まり、これまで見逃されていたケースが正しく診断されるようになりました。百日咳は決して過去の病気ではありません。
海外でも1990年代から、成人における百日咳の増加が問題になっていました。そのため、米国、カナダ、フランス、ドイツなどは、10代の青年に対する改良型・三種混合ワクチンの追加接種を数年前から実施しています。しかし日本は、百日咳を除いた二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)を11~12歳時に追加接種する、従来の方式にとどまっています。百日咳ワクチンが除かれる理由は、現行のワクチン0.5mlを青年や成人に接種すると、注射部位の発赤や腫脹などの副反応が強く現れやすいことです。第二の理由は、成人が百日咳にかかっても自身の生命が脅かされる危険性はきわめて低いからです。
上記の欧米諸国では、百日咳ワクチンの副反応を減じた改良型ワクチン(Tdap)が開発され使用されています。しかし日本では今のところ、Tdapの製造も輸入も予定されていません。おそらく今後も早急な対応はなされないだろうと悲観しています。
成人の百日咳が重症化しなくても、それをうつされた乳幼児は大変です。特にワクチン未接種の子どもが百日咳にかかると、顔を真っ赤にして「コンコンコンコン」と立て続けに咳き込み(スタッカートと称します)、その後に「ヒューッ」と音をたてて息を吸い込む動作をします(ウープと称します)。激しい咳き込みのために顔はむくみ、点状出血斑が顔や上半身に現れます。無呼吸発作を起こして命を落とすケースもあります。肺炎や脳症の合併例もときに見られます。百日咳は乳幼児にとって恐ろしい病気です。昨年の米国小児感染症学会誌によりますと、乳幼児の百日咳の感染源の70%は両親や親戚など身内の成人です。成人の予防措置と発症したときの早期診断・治療は緊急の課題といえます。
成人の百日咳は、乳幼児ほど重くならず、典型的なスタッカートやウープはほとんど生じません。熱も出ません。血液検査を行っても、かかっているかどうか曖昧なケースさえあります。百日咳を疑う手がかりは、2週間以上の長引く咳に加えて、突然の激しい咳き込み、咳き込みによる嘔気・嘔吐などです。元気があるからと言って咳を長らく放置せずに、必ず医療機関を受診しましょう。特に子どもと接する機会の多い方は、ご自身の健康だけでなく子どもの健康にも留意すること、つまり「感染源にならない」配慮が強く求められます。
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