2009年1月8日

小児救急 <夜間休日のかかりかた>

 クリニックが休みの時に、子どもが急に熱を出したり吐いたりしたら・・・「すぐに救急外来に連れて行くべきか」それとも「明日まで待っても大丈夫か」の判断に迷った経験をお持ちの方は少なくないでしょう。今回のコラムでは、小児救急の仕組みと救急への受診の目安をお伝えいたします。

 最初に小児救急の仕組みから。小児救急体制は、病気の重症度によって一次から三次までに分けられます。外来で治療可能な軽症例は一次、入院治療が必要な中等症例は二次、集中治療を要する重症例は三次です。救急車を要請すべき重症例(三次)を除き、一次も二次もまず一次医療機関をご利用ください。大和市では大和市地域医療センター(046-263-6800)、座間・綾瀬・海老名市では座間・綾瀬・海老名小児救急医療センター(046-255-9933)が受け皿を務めています。市域を越えた利用も可能です。二次医療が必要と医師が判断した場合、医療センターから病院に紹介いたします。ただし、大和市は22時45分に、座間・綾瀬・海老名市は21時45分に医療センターを閉めますので、以後の時間帯の急患(一次・二次)の方は二次輪番病院をご利用いただきます。日ごろから公報などで当番(曜日によって異なります)の病院名と所在地をご確認ください。当番病院の情報はテレホンサービスでも提供しています。大和市は046-264-0119、座間・綾瀬・海老名市は046-231-4402です。「かながわ小児救急ダイヤル」では、小児の急病への対処法の相談に応じています。時間は毎日18時から22時まで、電話番号は#8000(携帯電話、市外局番が042以外のプッシュ回線)または045-722-8000(ダイヤル回線、IP電話、市外局番が042の回線)です。

 一次の医療センターの当番は開業医の有志が交代で務めています。二次・三次病院の日当直は勤務医が務めています。看護師、薬剤師、事務員も同様です。人員の配置や検査・投薬の体制が日中に比べて手薄であることは否めませんが、「地域医療を守る」という使命感のもとに、参加者が献身的に支えている事情をご理解ください。したがって、幼稚園や学校を休ませたくない、日中は自分の都合がつかない、夜間・休日はあまり待たされない、などの理由で気軽に利用することはお控えください。小児救急は、急な病気や怪我をした時、病状が急に悪化した時に対処するための施設です。皆様のご協力をお願い申し上げます。

 次に救急への受診の目安を。子どもの救急で最も多いのは発熱です。発熱は体内に入りこんだ病原体の増殖を抑える防御反応ですから、全身の状態が悪くなければ心配いりません。顔色が赤く、機嫌がよく笑顔が見られて、お気に入りの玩具で遊べて、食事をそこそこに食べられて、すやすや眠っているようなら、翌日まで待っても大丈夫でしょう。ただし時間とともに具合が悪くなったら、たとえば顔色が青白く、機嫌が非常に悪く、水分を飲もうとせず、ぐったりして動こうとしない時、または激しい頭痛や嘔吐を伴っている時は、救急外来を早急に受診してください。顔色がさらに真っ青で、呼吸が弱々しく、とろとろ眠ってばかりで呼びかけに応じない時、または痙攣(ひきつけ)が5分以上続く時は、救急車を呼んでください。また、生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上発熱した場合は、重い病気の可能性がありますので、救急外来を受診してください。

 発熱に次いで多いのは嘔吐です。嘔吐の原因の多くは胃腸炎(お腹のかぜ)です。胃の中に入りこんだ病原体を吐き出す防御反応ですから、1~2回吐いた後にすっきりして顔色が悪くなければ、翌日まで待っても大丈夫でしょう。何度も吐き続け、顔色が青白く、機嫌が非常に悪く、水分を飲もうとせず、ぐったりして動こうとしない時、吐物に血液や緑色の液体が混じっている時、激しい腹痛を伴っている時などは、救急外来を早急に受診してください。意識がおかしい時、痙攣(ひきつけ)を起こした時は、救急車を呼んでください。

 咳もしばしば見かける症状です。咳はのどや気管支にたまった痰や異物を押し出し、呼吸機能を正常に保つための防御反応です。元気(活動度)・機嫌・食欲・睡眠に問題がなければ、翌日まで様子をみても構いません。しかし、咳込みや喘鳴(ゼーゼーヒューヒュー)で横になれない、眠れない、肩で息をしている、咳込んで何度も吐くなどの時は、救急外来を受診してください。呼吸がうまくできない、泣くことも話すこともできない、顔色が真っ青でぐったりしている時は、救急車を呼んでください。

 ほかにも、下痢、腹痛、発疹、痙攣(ひきつけ)、誤飲など、子どもの病状はたくさんあります。「兵庫県立柏原病院の小児科を守る会」のホームページ http://mamorusyounika.com には、子どもの急病に対する保護者の行動計画が詳細に記されています。パソコンをお持ちの方はご参照ください。また大和市小児科医会では、いざという時に慌てずに対処するための「子どもの救急ガイドブック」の作成を計画しています。皆様のご心配を解消する一助になるように頑張ります。完成までに少々のお時間をいただきますがどうぞご期待ください。

 追記;2009年12月に完成しました。力作です! 約3万部が印刷され、各家庭や幼稚園、学校に配布されました。詳しくは、大和市役所の健康づくり推進課にお問い合わせください。

 追記(2013年3月17日);2013年4月1日から、二次輪番病院の担当が若干変わります。木曜日は従来の南大和病院に代わり、大和市立病院が当番を務めます。これまで繰り返されてきた小児救急の受け入れ拒否が、これをもって改善されることを期待しています。引き続き皆様には、救急医療の適正なご利用をお願い申し上げます。