2020年2月16日

新型コロナウイルス感染症への対策(第4報)

 新型コロナウイルス感染症が新たな局面に入りました。これまでの感染者は渡航歴や接触歴を明確に把握できていましたが、2月13日以降、誰からウイルスをうつされたか分からない(感染経路を追えない)事例の報告が相次いでいます。米国疾病対策センター(CDC)は、「この疾患の範囲は当初の想定よりもはるかに広い。無症状の人からも感染する可能性がある」とコメントしました。水際対策の段階はすでに終わっており、今後は「市中感染」としての拡大をどれだけ食い止めるか、重症化しそうな人をどれだけ適切に治療できるか、に焦点が移ると思われます。2月15日時点の最新情報をお伝えいたします。

2020年2月12日

新型コロナウイルス感染症への対策(第3報)

 新型コロナウイルス感染症に関する最新情報をお届けいたします(2月12日時点)。
・潜伏期は1〜12.5日(平均5.2日)
・感染力は季節性インフルエンザと同等(1人の感染者から1.4〜2.5人に拡散)
・病原性は季節性インフルエンザ相当か、それよりもやや強い。軽症から重症まで幅広いが、軽症者が多い。無症状で終わる場合もある
・症状の特徴は1週間ほど続く風邪症状(微熱、咳、倦怠感)。そのまま治る人と1週間後に呼吸困難を生じて肺炎に進む人がいる。肺炎を発症しても重篤な状態に至るケースは多くないが、高齢者や持病のある人では注意が必要で、日本においても複数名の重症肺炎が報告されている
・中国ばかりで死亡率が高い理由は不明。十分な医療を受けられない、重症者だけが検査診断されている(軽症者は検査を受けられず見逃されている)、などの理由があげられる
・感染経路は飛沫感染と接触感染。空気感染はない

2020年2月8日

幼稚園・保育所における感染症対策2

 前回のコラムで幼稚園・保育所における感染症対策の難しさを述べました。免疫能の発展途上にある乳幼児において、一日を通して衣食住を共にする園内で、病原体をうつされて風邪をひくことは日常茶飯事です。幼稚園・保育所で感染症の流行を百パーセント阻止することは不可能と言わざるを得ません。個々の感染症の特性を理解した上で適切な対処がなされればよいのですが、医学的な根拠に欠ける不適切な指示が出されて保護者と園児が「無駄な努力」を強いられる場面に遭遇することもあります。実例をあげましょう。

2020年1月24日

幼稚園・保育所における感染症対策1

 子どもたちが集団生活を送る幼稚園・保育所には、様々な病原体(細菌、ウイルス)が持ち込まれ、それに起因する感染症がしばしば流行します。園のスタッフは対応に追われ、気苦労は相当なものであろうと推察します。感染症を発症した園児を隔離し登園停止にする措置は、感染の拡大阻止の基本中の基本です。しかし隔離と登園停止だけで感染症の蔓延を防ぐことはできません。幼稚園・保育所における感染症対策の難しさについて解説します。

2019年12月26日

インフルエンザ診療 ここが変だぞ!

[1] 治癒証明書、本当に必要?
 子どものインフルエンザが治った後、治癒証明書(または登校・登園許可書)を求めて再受診するという不思議な現象がまだ所々で見られます。大和市の公立小中学校ではとっくの昔に廃止され、多くの幼稚園・保育園でもすでに廃止されていますが、まだ一部の私立小中学校や幼稚園・保育園で実施されています。でも、本当に必要でしょうか。

2019年11月24日

止めるぞ! 風疹!

 先天性風疹症候群という病気があります。妊娠初期(20週頃まで)の女性が風疹ウイルスに感染すると胎児も感染して、難聴、先天性心疾患、白内障、緑内障、成長障害、精神遅滞などを発症します。障害の発生率は妊娠初期に感染するほど高くなります。妊娠1ヶ月で50%以上、2ヶ月で35%、3ヶ月で18%、4ヶ月で8%と報告されています。風疹には症状の現れない不顕性感染が15〜30%あるため、自分の知らないうちに妊婦にうつしていたり、妊婦は風疹にかかったことに気づかなかったりして、赤ちゃんが生まれた後に病気が判明するケースも少なからずあります。

2019年10月6日

真っ当な「かぜ診療」を目指して

 日常の小児診療で最も多く遭遇する疾患はかぜ(急性上気道炎)です。主な症状は、発熱、咳、鼻水・鼻づまりです。これらの症状に対して、熱冷まし(解熱薬)、咳止め(鎮咳薬)、鼻水止め(抗ヒスタミン薬)などの薬が使われます。いずれも対症療法のための薬です。抗菌薬、漢方薬などが使われることもあります。これらの薬の有用性について検討してみましょう。