2020年10月9日

新型コロナウイルスの最新情報/再感染、無症状者からの感染、死亡率の低下

  今冬、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行が懸念されています。現時点で今後の動向を正確に予測することはできませんが、インフルエンザワクチンを接種して流行に備えておくことは有用です。新型コロナウイルスについても、知識をアップデートして「正しく恐れる」姿勢を保つことが大切と思います。

2020年9月8日

「心の幸福度」について考える

 ユニセフ(国際児童基金)は9月3日、先進・新興国38ヶ国に住む子どもたちの幸福度を調査した結果を公表しました。日本の成績は以下のとおりです。
 ○ 精神的な幸福度(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率):37位
 ○ 身体的健康(子どもの死亡率、過体重・肥満の子どもの割合):1位
 ○ スキル(読解力・数学分野の学力、社会的スキル):27位
 ○ 総合順位:20位

 心の幸福度が下から2番目という、非常にショッキングな結果でした。内容を詳しく見ると、15歳の時点で生活満足度の高い子どもの割合は、1位のオランダが90%に対して、日本は下から2番目の62%でした。15〜19歳の10万人あたりの自殺率は、最少のギリシャが1.4人に対して、日本は約5倍の7.5人(下から12番目)でした。「すぐに友達ができる」と答えた15歳児の割合は、1位のルーマニアが83%に対して、日本は下から2番目の69%でした。わが国の子どもたちの心の健康〔メンタルヘルス〕がきわめて低い水準にあることがうかがい知れます。また、各国に共通に見られる現象として(日本も例外ではなく)、家族からのサポートがより少ない子どもたち、いじめに遭っている子どもたちは、精神的な幸福度がより低い結果になっていました。

2020年8月30日

新型コロナウイルス感染症に伴う子どもの心身症

 新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから、ほぼ半年が過ぎました。この間、子どもたちは「普通でない」生活を強いられてきました。全国一斉の休校措置、家庭内での補習学習、短い夏休み、過密なカリキュラム、各種イベントの中止、感染防御のための細々した決まり事など、子どもたちにとってストレスの多い環境が長く続いています。今のところ事態の収束を見通すことができません。

 心理社会的刺激(ストレス)が子どもたちに与える影響は小さくありません。当院において4月以降、心身の不調を訴える子どもが急増しています。おそらく心因反応にもとづくと思われる、頭痛、食欲不振、腹痛、倦怠感、息苦しさ、不眠、めまい、チック症(まばたき、声出し、首振り)、登校困難などの諸症状を呈する子どもたちを数十人ほど診てきました。当院は情緒安定作用を有する漢方薬を積極的に使用して、多彩な症状を緩和することに努めています。漢方薬は西洋薬(向精神薬)と異なり、副作用がほとんどなく依存性を生じないため、子どもにも安心して使用することができます。ただし薬だけで全てを解決することはできません。環境を変える努力が求められます。

2020年8月9日

新型コロナウイルスの最新情報/変異、ワクチン、うがい薬

[1] 新型コロナウイルスの遺伝子変異(新・新型コロナウイルス?)
 国立感染症研究所は、新型コロナウイルスの遺伝子解析の結果から、「感染症は5月にいったん収束に向かったものの、軽症者や無症状者の間で密かに受け継がれ、6月以降に再び顕性化して全国に拡散中」と発表しました(8月7日)。報告書によりますと、3月中旬以降に国内で広がったウイルスは、中国・武漢からヨーロッパを経て入ってきた「ヨーロッパ系統」で、5月にいったん収束しました。6月中旬以降に感染が再拡大して現在に至りますが、今度は「ヨーロッパ系統」の遺伝子の一部が変異した新ウイルスが主役です。おそらく軽症者や無症状者による感染が水面下で続いていて、この間に変異を生じたのだろうと推測されます。なお、病原性が強くなったり弱くなったりする変異は確認されていません
 感染者が急増しているにもかかわらず重症者や死亡者が大きく増えないため、ウイルスが弱毒化しているのではないかと期待する言説がありますが、今のところ確たる証拠はありません。第一波では見逃されていた軽症例が、検査体制の拡充により診断されるようになったことが主な理由と考えられます。軽症者は感染を広げやすいので注意が必要です。体調が良くない時は「自分は新型コロナウイルスに感染しているかもしれない」と考えて、外出を控えて療養に努めることが肝要です。

2020年6月12日

新型コロナウイルス感染症:子どもたちのストレスと不安を解消しよう

 新型コロナウイルス感染症がようやく収束に向かっています。東京や北九州市で感染者が増えて「第二波か!?」と心配されましたが、これは第二波ではなく、抑え込みが不十分な状態で緊急事態宣言が解除されたため、隠れていたウイルスがまた姿を現しただけです。しかし、冬のウイルスであるコロナウイルスは、夏にいったん減衰しても、秋以降に再び猛威を振るう可能性があります。油断は禁物です。当分の間、新型コロナウイルスと対峙する日常を覚悟しなければなりません。

2020年5月22日

小児の新型コロナウイルス感染症の特徴

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第一波は収束しつつあります。首都圏と北海道でも緊急事態宣言が解除される日は近いと思います。しかし第二波、第三波は必ず来ます。咳エチケットを励行する、三密を避ける、体調不良時は無理せず静養する、などの基本的な対策は継続しなければなりません。「他人への優しさと思いやり」がこのウイルスを撃退するキーワードです。

 第一波を通じて、小児におけるCOVID-19の特徴が明らかになりつつあります。今回のコラムでは、その概要を解説いたします。

2020年5月10日

食物アレルギーの子どもに理解と支援を

 食物アレルギーは、食物に含まれる成分が体内で有害な異物と誤認されて免疫反応が起こり、生体に不都合な症状(蕁麻疹、咳、嘔吐、アナフィラキシーショックなど)をきたす病気です。免疫は本来、生体にとって有害なもの(病原体、がん細胞など)を排除する機能ですが、ここに不具合を生じると食物アレルギーを発症することがあります。