2018年8月19日

風疹ワクチンが胎児を障害から守る

 風疹が首都圏で急増しています。本年8月第1週までの累積患者数は96人で、昨年1年間の93人をすでに超えています。風疹にかかった人の約7割は30〜50代の男性です。予防接種歴は「不明」か「なし」がほとんどです。今回のコラムで、なぜ風疹が怖い病気か、なぜ風疹が時々流行するか、風疹を防ぐには何をすればよいか、について解説します。

2018年8月8日

百日咳が増加中! ワクチンの追加接種を

 百日咳は、百日咳菌による呼吸器感染症です。生後6ヶ月未満の乳児が百日咳にかかると、無呼吸発作、肺炎、脳症などによって生命が脅かされるため、古来よりワクチンによる制圧が進められてきました。一時期は大幅に減少した百日咳ですが、2005年前後から学齢期以降の感染者が増え始め、乳児への二次感染が懸念される事態に至っています。学齢期以降に百日咳に罹患しても軽症(咳が長引くなど)で済むことがほとんどですが、そのために診断が遅れてワクチン未接種児(主に生後3ヶ月未満)への感染源になり、重症化や死亡に至らしめる危険を生じます。乳児がかかる百日咳の多くは、親や兄姉からの家族内感染です。

2018年7月9日

肺炎を見逃さないコツ 〜 経過をよく見ること 〜

 前回のコラムで「かぜが悪化して肺炎になることもある」と述べました。今回はこの点をもう少し深く掘り下げてみます。一例を示しましょう。他院で「かぜ」と診断された子どもが、熱と咳が良くならないという理由で当院を受診しました。熱のせいで顔が赤く火照り、活気がなく、ひどい咳を絶え間なくしています。聴診器を胸に当てると、ブツブツと雑音が聞こえます。胸部レントゲン写真を撮ってみると、肺野に白い影が見えます。「肺炎」と診断しました。

2018年6月22日

抗菌薬は肺炎・中耳炎を予防できない

 ほとんどの風邪に抗菌薬(抗生物質)が効かないことは、医師のみならず医学生でも知っている常識です。風邪の原因の9割はウイルス感染症であり、ウイルスに抗菌薬は効きません。それにもかかわらず、風邪に対して、とくに熱があったりすると、「念のために」と称して「セフジニル」「フロモックス」などの抗菌薬を処方する医療が今もなお横行しています。言うまでもなく、抗菌薬に解熱作用はありません。薬を飲んだことで風邪の熱が下がったように見えても、それは自身が持つ免疫反応(抵抗力)の結果です。

2018年5月23日

インターネットの医療情報は信用できるか?

 インターネット(以下、ネット)の普及により、医療情報が簡単に入手できる時代になりました。健康や病気に関する情報を得たいとき、ネットは便利で有用な手段です。しかし、ネットの医療情報はどこまで信用できるでしょうか。実際にネットを検索してみると、胡散臭いサイトがあれこれ出てきます。IT大手企業のDeNAが運営していた「WELQ」が出鱈目な医療情報を流して閉鎖に追い込まれた事件(2016年)は、ネットは必ずしも真実を伝えない(ウソも多い)という教訓を社会に投げかけました。

2018年4月14日

医師会って何をするところ?

 今回は子どもの健康や病気の話題ではなく、大和市医師会(以下、医師会)の役割と仕事を皆様に紹介いたします。医師会には現在、市内の開業医、勤務医、自宅会員の計221名が登録されています。筆者は2004年のクリニック開院と同時に加入し、2007年から理事を務め(最初の二年間は広報担当、以後、現在に至るまでの九年間は救急担当と公衆衛生担当の兼任)、2011年から副会長の職責を担っています。

2018年4月12日

幼稚園、保育園の感染症対策(第二編)

 一昨年に執筆した「幼稚園・保育園での感染症対策」の続編です。新年度が始まり、風邪にかかる子どもたち(特に新入生)が徐々に増えてきました。狭い空間で長い時間にわたり一緒に過ごす幼稚園・保育園は、子どもの免疫能が未だ成熟していないことと相まって、感染が拡大しやすい環境にあるといえましょう。今回は、集団生活に大きな影響力をもつ感染症とその対策について解説いたします。