2021年8月1日

食物アレルギーを意識した、離乳食の進め方

 食物アレルギーの有病率は年々増加傾向にあり、乳児で510%、幼児で5%、学童期で1.53%とされています。育児中の親御さんにはご心配事も多いと思われます。今回のコラムは、離乳食に関して日常診療でしばしば承るご質問にお答えする形で記します。

 [1] 食物アレルギーの発症予防に、妊娠中・授乳中の母体の食物除去は有効ですか?

 妊娠中や授乳中に母親が食物を除去しても、子どもの食物アレルギーを予防することはできません。いつもどおりの食事をお楽しみください。ただし、子どもがすでにアトピー性皮膚炎を発症している場合のみ、授乳中の食物除去により皮膚症状が軽減することがあります。

2021年6月30日

新型コロナワクチン 若年層への接種も大切です

 東京都内の新型コロナウイルス感染者のうち、20代と30代の割合が5割を超えていることが報告されました。ワクチン接種が進む中、60代以上の感染者は減少傾向にあり、社会の中で最も活動的な若年層への感染が顕著な状況にあります。大和市でも同様の傾向が認められ、20代の感染者が突出して多くなっています。若年層は重症化しにくいという理解が広まっているほか、副反応への警戒感から、ワクチン接種に慎重な若者も少なくないようです。しかし、若年層にも後遺症に苦しむケースが散見されること、ワクチンの有効性は極めて高く重大な副反応の頻度は低いことから、筆者(玉井)は若年層の方々へのワクチン接種を強く推奨します。

2021年6月14日

RSウイルス感染症 〜 季節外れの流行 〜

 乳幼児に肺炎を起こすことのあるRSウイルスが流行しています。例年は78月に流行が始まり、910月にピークを迎え、11月以降に収束します。しかし今年は3月から感染者が徐々に増え始め、6月時点でまだ増え続けています。国立感染症研究所によると、現行方式で統計を取り始めた2018年以降で、最多の20199月に迫る勢いです。この時期の流行は異例のことです。

RSウイルスは、感染者の咳やくしゃみ、鼻汁から感染します。年長児は上気道炎(かぜ)で済むことが多いですが、年少児、とくに生後半年以内の乳児、早産児、心肺に基礎疾患を持つ乳幼児などでは、重い細気管支炎や肺炎を起こすことがあります。特効薬やワクチンはありません。一度かかっても終生免疫が成立せず、何度もかかります。ある程度の免疫は獲得され、かかるたびに症状は軽くなります。マスクの着用や手洗いによる予防は有効です。RSウイルス感染症の詳細は、院長のコラム「RSウイルス感染症 〜乳幼児にとって厄介な病気〜」(201210月)をご参照ください。https://tamai-kids.blogspot.com/2013/10/rs.html#more

RSウイルス感染症は昨年(2020年)、年間を通じて流行しませんでした。新型コロナウイルス対策でマスクを着用する人が増えたことや、幼稚園・保育園が休園したことが影響していると考えられます。通常であれば免疫を獲得するはずであった子どもたちの多くが免疫を持っていないため、今年は感染が急拡大しているのではないかと推測されます。今年のRSウイルス感染症の特徴は、1歳未満の乳児だけでなく13歳児にも重症例がときどき見られることです。子どもが激しい咳をしていたり息苦しそうな素振りを見せたりしていたら、早めに医療機関に相談されることをお勧めいたします。

インフルエンザに関して、同様の事態が起こらないか気になります。2020/21年のシーズン、インフルエンザはまったく流行しませんでした。次のシーズンに大きな反動が起こる可能性が米国の一部の専門家の間で指摘されています。さいわい、インフルエンザにはワクチンがあります。有効率は3070%で満足できる高さではありませんが、無防備であるよりはずっと安全・安心です。当院は9月上旬にワクチン受付を開始いたします。詳細はホームページに掲載する予定です。

 

2021年4月25日

新型コロナウイルスワクチン 世界と日本の接種状況

 新型コロナワクチンの接種は世界185ヶ国・地域で始まっています。世界全体の累計接種回数は、422日までに95千万回を超えました。すでに国民の半数以上が接種を終えた英国やイスラエルでは、感染者数が急減しています。

2021年2月24日

シルガード9:新しい子宮頸がん予防ワクチン

 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。日本で毎年、若年層を中心とした女性の約1万人が子宮頸がんに罹患し、約2900人が死亡しています。子宮頸がんがマザー・キラーと称される所以です。そのような状況の中、世界はHPVワクチン接種による子宮頸がん撲滅の活動を展開しています。ワクチン先進国のオーストラリア等では、子宮頸がんは10年後に「稀少がん」としてほとんど見られなくなるだろうと予測されています。一方で、先進国の中で日本だけは「ワクチンの積極的接種勧奨の一時的差し控え」という不合理な施策を数年前から続けていて、世界の潮流から完全に取り残されています。世界保健機関(WHO)は日本を名指しで、「若の女性たちが命の危険に晒されている」と非難し、接種勧奨の再開を強く求めています。

2021年2月15日

子どもにサプリメントは必要か?

 サプリメントは、健康の保持や増進を目的とする補助食品のひとつで、特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品と定義されます。昨今の健康ブームの影響を受けて、多種多様なサプリメントが世の中に出回っています。では、子どもにサプリメントは必要でしょうか? 結論を最初に言いますと、日本に住んでいる健康な子どもで、十分量の食事を摂っていれば、必要な栄養素はすべて食事でまかなえます。サプリメントは基本的に必要ないと思います。「今どきの野菜は栄養が少ない」などの不安を煽る文言に科学的な根拠はほとんどありません。

2021年1月26日

新型コロナウイルス/マスクの効果、ワクチンの効果

[1] マスクの効果

 インフルエンザなどの呼吸器感染症は「発症した後から周囲に感染させる」ため、感染した人だけがマスクを着用すれば十分でした。しかし新型コロナウイルスの感染力は発症3日前から5日後までが最も強く、「発症前の無症状の時期から周囲に感染させる」ため、すべての人がマスクを着用することが理にかなっています。健康そうに見えても、「自分はウイルスを保有しているかもしれない、他人にうつすかもしれない」と考えて慎重に行動していただきたいと思います。