2023年2月21日

カルシウムを摂って骨の貯金をしよう

 骨は身体の中で多くの役割を担っています。身体を支える、運動の支点になる、内臓を守る、血液を作る、カルシウムを蓄える、などです。育ち盛りの子どもにおいては、背を伸ばす(骨の縦伸び)、骨格を丈夫にする(骨の横伸び)という大切な役割もあります。

 人生で骨量が最も多くなる時期は男女ともに20歳前後です。一生分の骨量は10代で決まるといわれており、大人になってから増やそうとしても難しいです。成長期の骨づくり「骨貯金」が、将来の骨の健康を維持するカギになります。

 骨は蛋白質の一種であるコラーゲン(有機成分)とリン酸カルシウムなどのミネラル(無機成分)で構成されています。コラーゲンが土台となって骨に弾力性を与え、ミネラルがコラーゲンに付着して骨に強度を与えます。ミネラル成分の詰まり具合を骨密度といいます。

 カルシウムなどのミネラルは、身体で作り出すことができないため、食事から摂らなければなりません。日本食は栄養学的に優れていますが、カルシウムだけは不足しています。どの年齢層でもカルシウム摂取量は推奨値に達しておらず、充足率は80%以下と推定されています。成人の目標量は1600800mg、成長期の子ども(10代)は17001000mgです。体重あたりで換算すると、子どもは大人の23倍量を摂らなければなりません。

 カルシウムは乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、大豆製品(豆腐、納豆、厚揚げなど)、骨ごと食べられる小魚(干しエビ、かたくちイワシなど)、野菜類や海藻類(青菜、ひじき、昆布など)に多く含まれます。とくに乳製品はカルシウムの含有量が多く、効率よくカルシウムを摂ることができます。

 カルシウムの吸収や利用を高めるために、ビタミンDも必要です。ビタミンDを多く含む食品は、魚類(シラス、サンマ、サケなど)、茸類(キクラゲ、椎茸など)、鶏卵などです。とくに魚類はビタミンDの含有量が多く、効率よくビタミンDを摂ることができます。また、ビタミンDは日光を浴びることによって皮膚で合成されます。屋外で遊んで日光を浴びることも大切です。

 食事にはバランス感覚が求められます。カルシウムをたくさん摂ろうとして牛乳を飲み過ぎると、鉄の吸収が阻害されて貧血の原因になります(牛乳貧血とよばれます)。1歳までは牛乳を与えない、1歳を過ぎても1日量400mLを超えないことを意識してください。加工食品(ハム、ソーセージ、練り物、インスタント麺、ファストフードなど)には、無機リンが多く含まれています。無機リンはカルシウムの吸収を阻害するため、摂り過ぎを避けなければなりません。

 将来の骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を予防するために、子どものうちから「骨貯金」を始めましょう。もちろん大人の方も、今の骨量を維持するために骨貯金を続けましょう。