数十年に一度の厄災の中で、大人だけでなく、子どもたちもストレスや不安を感じています。不安の主な原因は、新型コロナウイルス感染症が「よく分からない」ことです。この病気を正しく理解するためには、信頼できる情報源から知識を得ることが肝要です。一例として、山中伸弥教授のブログに「証拠(エビデンス)の強さによる情報分類」が掲載されています(https://www.covid19-yamanaka.com/cont7/main.html)。きっと参考になりますよ。ウイルス感染を防ぐための要点は、(1) 人との距離を約2mあければ、ウイルスを浴びることはない(ウイルスは風に乗ってふわふわ飛んでくることはない)、(2) 石鹸で手をしっかり洗えば、ウイルスは手から流れ落ちる、(3) 身体にはウイルスを排除する免疫が備わっていて、十分な休養と睡眠がその機能を高める、(4) 他人にウイルスをうつさないために、咳エチケットを守る、などです。有効な対抗策があることを子どもたちに教えてあげてください。
子どもたちは不安を言葉でうまく表現できず、それゆえに身体に変調をきたすことがよくあります。頭痛、腹痛、食欲不振、息苦しさ、不眠、夜泣き、登校困難、チック症状(咳払い、首振り)、めまい、夜尿などを訴える子どもたちが、当院にも多く受診します。子どもの不安に寄り添うこと、正しい情報を提供すること、症状を和らげる治療を行うこと、の三点を心がけて診療しています。こういう場面で役に立つのが漢方薬です。西洋薬(向精神薬)ほどの強力な作用はありませんが、子どもの不安とそれに伴う症状をゆっくりじっくり解きほぐす効果を期待できます。当院は漢方薬を積極的に採用しています。
親子で取り組むストレス解消法がいろいろあります。たとえば、(1) 身体を一緒に動かす … 人混みを避けつつ、散歩やジョギングや公園での外遊びを楽しみましょう。室内ならストレッチや体操で汗を流しましょう。(2) 普段しないことに取り組んでみる … お菓子作り、料理、図画工作、科学実験、アウトドア、楽器など、楽しく打ち込めるものを見つけましょう。(3) 規則正しい生活リズムを保つ … 午前中は親子で一緒に勉強し、午後は自由に過ごすなど、メリハリをつけることは重要です。さらに、人とのつながりを大切にする(友人、教師、祖父母など。通信機器を適切に活用する)、大人が率先して心を平静に保つ(イライラを子どもに伝えない)、テレビをつけっぱなしにしない(新型コロナウイルスの情報過多を避ける。なかでもワイドショーは百害あって一利なし)などを実践したいものです。
子どものストレスや不安を解決するために、国立成育医療研究センターのこころの診療部リエゾン診療科が有益な情報を提供しています。悩みを抱える親子には必読の資料と思います。ぜひご参照ください。
https://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200410.html
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