① 病初期には風邪との区別がつかない。感染から数日間(1〜12.5日)の潜伏期を経て、発熱、呼吸器症状(咳、咽頭痛、鼻汁)などが現れる。症状が約7日間と長く続くこと、発熱の程度に比して倦怠感が強いことが特徴。80%は風邪のまま自然に治癒する。20%は肺炎を合併するが、多くは回復する。高齢者(特に70歳以上)や基礎疾患保有者は重篤化する危険度が高い(6%)ので要警戒。感染しても発症しない無症状者が相当数いると推測される。
② 感染者の80%は他人に感染させない。一部の感染者が強い感染性を持つ(スーパー・スプレッダーと呼ばれる)。密閉された空間で長時間を共有すると、スーパー・スプレッダーからの感染が一気に拡大する(その空間内の患者集団はクラスターと呼ばれる)。密閉空間の長時間の共有を避けることが感染予防に有効。
③ 接触感染、飛沫感染で広がる。空気感染はない。予防には手洗いが最も重要。マスクで感染を予防できるか否か見解は分かれるが、満員電車など人混みの中では着用する方が安全。ただし通常のマスクはウイルスを容易に通過させるため、過信は禁物。汚染された手指を口や鼻に入れずに済む点では有用。マスクは感染拡大防止には有効で、咳やくしゃみをしている人は必ず着用すべき。咳エチケットの徹底を。
④ 感染の有無を調べるPCR検査が保険適用になった。感染防護体制の整った全国約860の専門外来病院で実施が可能。受診と検査の適否は帰国者・接触者相談センターの判断による。まずはセンターに電話を。現時点で、軽い風邪症状にとどまる人への検査は、感染者との接触歴や流行地への渡航歴がなければ、推奨されない。理由は、検査を希望する外来受診者が急増すると、病院内で濃厚接触が起こりうること、病院機能がパンクする恐れがあること。また、PCR検査の感度は高くないので(70%前後?)、陰性だから感染していないと言い切れない点に注意。
⑤ 風邪症状がある時、「確率は低いが、新型コロナウイルスに感染しているかもしれない」と冷静に自覚しておくこと。ほとんどの場合、軽い風邪症状で治る。特別な治療薬はないので、しっかり休養して体力を温存することが大切。もしも症状が4日以上続くか経過中に呼吸が苦しくなったら、肺炎など重症化の心配があるので、帰国者・接触者相談センターに相談する。基礎疾患(免疫不全、呼吸器疾患など)を持つ人は、症状が2日以上続けば相談する。その上で感染専門病院へ。実際には、風邪の原因のほとんどは新型コロナウイルス以外なので、過剰に意識する必要はない。早めの受診を希望する人は、信頼できるかかりつけ医に相談を。もう一つ大切なことは、症状が軽くても他人に感染させる危険があるため、外出を控える。少しでも「風邪かな?」と感じたら、無理せず自宅安静を。
⑥ 特別な治療薬やワクチンに過度の期待をかけない。開発と実用化には相当の時間がかかる。まずは予防が大切。
⑦ 不確かな情報に踊らされないこと。マスクやトイレットペーパーの買い占めは、結果的に品不足を招いて自分の首をしめることになる。必要な分だけ購入しよう。「新型コロナウイルスに効く」と謳う食品や健康グッズはすべて怪しい。騙されないように。非常時に最も警戒すべきことは、デマと風評とそれに乗せられる大衆心理。冷静沈着な行動を心がけたい。