2018年2月25日

隠れインフルなんて本当にあるの !?

 「隠れインフル」なる奇妙な造語がメディアを中心に世間に流布し、医療現場に大きな混乱をもたらしています。筆者の考えを述べると、「隠れインフルなんて病気はない。それは昔からあった、インフルエンザの軽症例や不顕性感染例のことだろう」となります。

 インフルエンザウイルスに感染すると、8〜9割の人は高熱や全身倦怠感などのつらい症状をきたしますが、1〜2割の人は微熱や無症状のままいつの間にか治ってしまいます。体内に侵入したインフルエンザウイルスに対して、これらを排除する免疫反応がしっかり働くからです。つまり、病状が重くなる前に自力で治してしまうわけで、タミフルやリレンザを服用しても効果は限定的です(あまり感じないでしょう)。これらの「軽症例」や「不顕性感染例」をなぜ今頃になってメディアが大々的に取り上げて騒ぐのか、不思議でなりません。あくまでも推測ですが、メディアにとって真実を追究することは二の次、三の次。インフルエンザへの不安を煽って視聴率を稼ぐことの方が大事なのかなと思ったりもします。

 筆者が所属する日本外来小児科学会は、「ごく軽症のインフルエンザ診療に関する会員の意識調査」を緊急に行い、「ごく軽症であればすぐに受診せず、家庭でしばらく経過を見てから受診するかどうか判断するのがよい」という意見を回答した医師の95%が持つという結果を公表しました(http://future.or.tv/chousa/flu/flu-chousa-report201802.html)。筆者もまったくもって同感です。体温が37.5℃を少々超えていても、他の症状がなく、食欲があって、身体のだるさを感じなければ、慌てなくても大丈夫です。その先、病状が進行するかどうかを見極めてから受診しても遅くありません。