(1) 熊谷さくらマラソン(2014年3月23日。晴。ハーフ、1時間43分51秒)
日本さくら名所100選の一つ、熊谷桜堤が一番の見所です。今年は残念ながら開花が間に合わず裸木のままでしたが、代わりに盛大な応援が沿道を彩りました。ブラスバンド、お囃子、和太鼓の演奏に加えて、熊谷うちわ祭で使われる山車が何台も登場し、「よーっ」と威勢のいい掛け声が飛んできました。コースはほぼ平坦で、狭い道をくねくね曲がる街中や秩父連山を遠くに望む田園など、変化に富んでいました。JR高崎線の車両基地を横目に見たり、秩父鉄道の踏切を何度も渡ったり(遮断機が下りて足止めされないかハラハラしました)、鉄道ファンの視点からも十分に楽しめました。この日は体調がすこぶる良好で、暑くも寒くもない気候に恵まれ、脚と身体が自然に前へ前へ進む感覚でした。「あぁどうにも止まらない〜」を口ずさみたくなりましたよ(古いなぁ)。最後までキロ5分弱のペースを崩すことなく、全力走でフィニッシュ。自己ベストを5分近く短縮しました。嬉しかったのは、ゴール手前の競技場入口で見かけた早咲きの一本桜。新記録を祝うかのように、満開の花を咲かせていました。
(2) 長野オリンピック記念 長野マラソン(2014年4月20日。晴。フル、3時間56分33秒)
長野冬季五輪の感動を後世に伝えるために創設された大会です。コースはおおむね平坦。前半は善光寺や長野駅を横目に市街地を通り、後半は郊外に出て千曲川のほとりに沿います。オリンピック記念の名称にふさわしく、ビッグハット、エムウェーブ、ホワイトリンクなどの五輪施設を巡り、長野オリンピックスタジアムでフィニッシュします。幸運なことに、エムウェーブで高橋尚子さんのハイタッチを受ける栄誉に浴しました。千曲川に出てからは、眼下の土手に菜の花、近景に満開の桜、遠景に残雪をいだく北アルプスを望み、早春の信濃路を満喫することができました。さて肝心のレース展開はというと … 1ヶ月前の熊谷での快走に味を占め、自分の実力を超えるキロ5分15秒の強気のペース設定にしました。30キロまでは順調でした。このままいけば3時間40分台を狙える。しかし、31〜32キロに現れる「ふたこぶラクダ」とよばれる小さなアップダウンを越えたところで、いきなり脚が止まってしまいました。キロ表示の下に「30キロ そろそろ言い訳 考える」なんて川柳が掲げられていましたが、やはり30キロの壁はありましたね。前半のオーバーペースのツケが回ってきたようです。沿道からの盛んな声援は耳に入りますが、脚は言うことを聞いてくれません。走る速度が次第に落ちていき、36キロ地点で完全に力尽きました。以後の2キロをとぼとぼ歩いたりちょっぴり走ったり。後続のランナーに次々に追い抜かれます。萎えていた気力と体力に再び火がついたのは残り4キロ地点。腕時計を見てサブフォー(4時間切り)圏内にまだいることを悟り、ここからもう一度頑張ろうと決意しました。あとはもう何も考えずがむしゃらに走り続けて感激のフィニッシュ。自己ベストを10秒だけ縮めることができました。頑張ってよかった。苦しくても最後まであきらめてはいけない … 当たり前の教訓をあらためて噛みしめたレースでした。
(3) 富士裾野高原マラソン(2014年5月11日。快晴。ハーフ、1時間52分12秒)
雲一つない五月晴れ、新緑の木々を渡る薫風、残雪をいだく富士山の麗姿 … 絶好のコンディションに恵まれた一日でした。コースの目玉は、陸上競技場を出た直後から始まる長い坂道。富士山を間近に仰ぎ見て、約5キロを延々と駆け上がります。標高差は220メートル。まるで地下鉄の急な階段のようです。腕を大きく振り足を強く蹴っても、速度がまったく上がりません。いきなり試練が襲いかかります。周囲を見回すと、走るのを早々とあきらめて歩いている人の姿がちらほら。途中で引き返してくる人もいました。苦しみながらようやく上りきった先は、約6キロの周回コースを2周します。木立の間を抜ける気持ちのいい道ですが、標高差が70メートルあります。上ったり下りたりを繰り返し、ラストは必死に上ってきた激坂を逆に一気に急降下! 上りの鬱憤を晴らすかのように思いっ切り飛ばしました。気持ちよかったですよ。意気揚々と競技場に戻り、笑顔で万歳してフィニッシュ。上り坂に手間取ったのでタイムは伸びませんでしたが、「走りきった」というより「上りきった」充実感がありました。坂道ランの醍醐味でしょうか。自分の走りもさることながら、大会で最も印象に残ったエピソードは、出走前に行われた表彰式です。「最高齢賞」を受けた方は何と85歳のお爺さん。あの激坂を上り下りするなんて凄い。自分も年を取ってもランナーであり続けたい、そのためには練習をサボるわけにいかないな、と思いました。85歳まであと29年もあります …
(4) 南魚沼グルメマラソン(2014年6月8日。晴。ハーフ、1時間51分45秒)
日本有数の米どころ南魚沼市。地域ぐるみのホスピタリティに惚れ込んで、シーズンの走り納めは必ずここと決めています。今年で3回目の参加です。主な走路は田植えが終わったばかりの田んぼを突っ切る農道ですが、魚野川の清流に沿う土手や木立が美しい国際大学キャンパスなど、楽しい寄り道もあります。スタート時の気温は24℃、湿度は78%。梅雨の合間の晴天はありがたいですが、暑熱にまだ馴れていない身体には過酷なコンディションです。疲れきってふらふらする頭と身体を元気づけてくれたのは、沿道で熱心に応援してくださる方々。なかでも国際大学キャンパスは、留学生の皆さんによる国際色豊かな声援にあふれ、元気百倍になりました。タイムは平凡でしたが、昨年の同大会(この日も蒸し暑かった!)に比べて4分以上縮めたので、これで良しとしましょう。フィニッシュ後の冷たいおしぼり、スポーツドリンクと麦茶の飲み放題、コシヒカリの食べ放題、おかずの屋台、そしてミニライブと楽しみが続き、今年も満ち足りた気分で南魚沼をあとにしました。
この先、9月下旬まではシーズンオフです。夏を制する者が実りの秋を迎える … なんて受験生みたいな合言葉ですが、夏の間も練習に励んで、秋以降の来シーズンのレースを楽しみたいと思います。また来年、レースのご報告をいたします。