2014年1月22日

マラソン放浪記  〜 走る楽しみを求めて 〜

 昨年(2013年)4月に霞ヶ浦でフルマラソンを初めて完走しました。以来9ヶ月間、日本の各地に出向いてマラソン大会に出場しています。マラソン行脚の日々です。中でも印象に残った大会を幾つか皆様にご紹介いたします。マラソンの楽しみを身近に感じていただけると幸いです。

(1) 南魚沼グルメマラソン(2013年6月9日。快晴。ハーフ、1時間56分06秒)
 新潟県の米どころ、南魚沼市で開催されます。大会の魅力は、完走後のコシヒカリ食べ放題。ヨーイドンの号砲が鳴ると、ランナーは一斉に「いただきま〜す!」と叫んで走り出します。美味い飯を食うぞ!と気合いが入ります。コースは広大な水田地帯。八海山を遠くに仰ぎ見る風景はとても美しいですが、初夏の日差しを遮る建造物がなにもなく、とにかく暑い、苦しい、疲れる。5kmも走ると最初の意気込みはどこへやら、意識が朦朧として、水田に飛び込んだら楽になるだろうなぁとか、妄想が止まらなくなります。給水所ごとに水をたっぷり飲んで頭にかけて、全身で補給します。熱中症が怖いからね。沿道からの声援に背中を押されて走り続け、どうにかこうにかゴールに接近。ゴール手前に私設の給水所ならぬ給酒所があり、地元の銘酒・八海山が振る舞われています。さすがに一杯ひっかける元気はなく、ふらつく足取りでゴールイン。完走賞のお茶碗をもらい、ご飯をよそってもらう行列へ。おかずの屋台も充実しています。お腹が満たされて、ようやく元気が戻ります。最後のランナーが還ってくると、参加者と応援者の投票による仮装大賞の表彰式、松任谷正隆さんの指揮するミニコンサートとイベントが続き、ラストは皆が思い思いにステージに上って「春よ、来い」の大合唱。炎天下のランはきついですが、楽しみ満載のこの大会には毎年必ず参加しています。

(2) 山形まるごとマラソン(2013年10月6日、晴。ハーフ、1時間51分21秒)
 山形市で開催された第一回大会。市街地から郊外に向けて山形の名所を駆け抜けます。沿道の応援がとにかくすごい。鐘・太鼓を打ち鳴らすおじさん、「お兄さん、格好いいよぉ」とおだててくれるおばさん、「ヤッショー、マカショ」の花笠踊りを披露してくれる小中高校生、かわいい手でハイタッチしてくれる幼稚園児。手作りのプラカードや私設のエイドも多く目に付き、この大会を成功させようという山形市民の総意がひしひしと伝わってきます。熱い声援に乗って、脚の動きは絶好調。ラスト5kmで一気にギアを上げ、最後の1kmで約25人を抜き去って颯爽とゴールイン。ゴール直前でゲストの野口みずきさんのハイタッチを受けるという嬉しいオマケまで付きました。完走のご褒美は山形名物の芋煮。美味しかったですよ〜。これまで縁もゆかりもなかった山形ですが、この大会を通じてすっかり好きになりました。

(3) 下関海響マラソン(2013年11月3日。雨。フル、4時間11分15秒)
 「二つの海を駆け抜ける」がキャッチフレーズの大会。前半は瀬戸内海に沿った平坦な道、後半は日本海に沿ったアップダウンの多い道。まったく異なる二つの顔を持つコースです。残念なことに降りしきる雨で海は霞んでいましたが、本州の最西端を走っている雰囲気を感じました。この大会でも下関市民の盛んな声援が寄せられて、大きな推進力になりました。感謝、感激です。出発から中間点までは、淡々と走って1時間59分で到達。サブフォー(4時間切り)の期待が高まります。しかしその先は高低差50mの起伏が四回現れる難コース。覚悟していたものの、やはりきつい。三つまではどうにか越えられましたが、四つめ(35km地点)で力尽きました。坂道というより、感覚的には絶壁。必死に腕を振って走りますが、歩いているのとほとんど同じ速度です。「ここまで十分に頑張ったから少しぐらい歩いてもいいんじゃない!?」という悪魔のささやきに負けて、つい歩いてしまいました。いったん歩いてしまうともう駄目ですね。気を取り直して走り出しても、すぐにまた歩いてしまう。沿道からの「頑張って!」にも応えられない。走ったり歩いたり、テンションが下がりっぱなしのままゴールイン。気持ちがようやく上向いたのは、完走記念メダルを首にかけてもらった時。一部歩いたけど、42.195kmを走りきった充実感と達成感が湧いてきました。ヒルクライムに耐えられる足腰を作り直して、いつかまたこの大会に挑戦したいと思います。

(4) 加古川マラソン(2013年12月23日。快晴。フル、3時間56分58秒)
 開催地は兵庫県加古川市。加古川の河川敷に作られた、起伏の少ない走りやすいコースです。前回の下関での失敗に懲りて、「苦しくても絶対に歩かない」ことを自分に約束して大会に臨みました。コースと好天気に恵まれ、30km過ぎまではほぼ順調。川辺の長閑な風景に癒されます。応援してくれる人たちに笑顔で手を振る余裕もあります。このままいけるかと思いきや、ラスト7kmで試練が訪れました。20km過ぎからかすかに感じていた右膝の痛み(3週間前の練習中に傷めました)が次第に強くなり、それをかばって走っているうちに左太腿が痛くなり … いつしか痛い箇所がどこそこと指摘できないほど、脚の筋肉すべてがこわばって痛みます。脚に鉛が入っている感覚です。走る速度ががっくり落ちます。無理せずに歩きたくなる場面です。しかし、歩かない。自分との約束を破るわけにはいかない。「痛いのは気のせい。歩かない」とぶつぶつ呟きながら、ひたすら脚を前に動かし続けます。”マラソン盛り上げ隊” の横断幕を掲げたお年寄りの方々が「ゴールまであと少しだぞ〜」と励ましてくれます。赤い法被を着たアニマル浜口に似たおじさんが「気合いだ〜!」と声を嗄らして叫んでくれます。力強い声援に押されて、ついに最後まで歩かずにゴールイン。念願のサブフォーを達成しました。さすがに胸が熱くなりましたね。加古川マラソンと加古川市民に心から感謝の念を捧げます。

(5) 千葉マリンマラソン(2014年1月19日。快晴。ハーフ、1時間48分14秒)
 1万8千人が参加するマンモス大会。千葉ロッテの本拠地、QVCマリンフィールドを出て、千葉港で折り返し、QVCに戻ってくるコースです。この球場の名物は風。大会当日も最大風速13mの強風が吹きました。往路は追い風、復路は向かい風。非常に厳しいコンディションです。大会の最大の魅力は、ゲストの高橋尚子さん。スターターを務めたあと、コースのあちこちに出向いて選手を励ましてくれます。残念ながら自分の走路が離れていてハイタッチの栄誉に浴することはできませんでしたが、飛びきりの笑顔と優しい掛け声に元気百倍! おかげで強風に屈することなく、最後まで力走を続け、ハーフの自己ベストを大幅に更新しました。ありがとう、Qちゃん、そして寒い中でボランティアの仕事を務めてくださった地元の皆さん。満ち足りた気持ちで千葉を後にしました。
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 マラソン大会は、走る人、運営に携わる人、応援する人 … それぞれが支え合って成り立っていると感じます。地元の人たちとの触れ合いが、なによりの思い出になります。これからも足腰の持ち堪えるかぎり、日本全国のマラソン大会に出場して、走る魅力を追い求めていくつもりです。

 次に出場する大会は2月の東京マラソンです。「東京が一つになる日」という素敵なキャッチフレーズを実現するために、ランナーの一人として、自分が楽しみ、周囲の人たちに楽しんでもらえるレースにしたいと思います。当日の模様をまたご報告しますね。