2011年6月30日

日本脳炎ワクチン Q&A(改訂第九版)

Q1 以前の日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨はなぜ中止されたのですか?
A1 平成16年10月に日本脳炎ワクチンを接種された14歳の女子が、その後に重度の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)を発症し、翌年5月に「日本脳炎ワクチンと関連する可能性がある」と国に認定されたからです。しかし医学的には関連を疑問視する声が圧倒的です。



Q2 新しい日本脳炎ワクチンは以前の日本脳炎ワクチンと何が違いますか?
A2 製造の過程においてマウス脳を使用していない点です。ADEMを起こす確率は、理論上はゼロです。新しいワクチンへの切り替えは平成22年3月に完了しました。以前のワクチンは現在使われていません。
Q3 新しい日本脳炎ワクチンの副反応には何がありますか? 
A3 比較的多く見られる副反応として、発熱や接種部位の腫れ・痛みがあります。製造の初期段階でウシから採取した成分を使用していますが、ウシ由来の病原体による伝達性海綿状脳症(TSE)に感染したという報告は一例もありません。危険性はきわめて低いです。
Q4 わが国の日本脳炎の発生はどのような状況ですか?
A4 昭和42年までは年間1000人以上でしたが、予防接種の普及と生活環境の改善によって激減し、昭和47年以降は年間100人以下、平成4年以降は年間10人前後です。罹患者の多くは高齢者です。しかし厚労省が出した不適切な通達(前述)の後、接種機会を失った小児の罹患者が散見されるようになりました。また、夏季にブタと蚊の間で日本脳炎ウイルスの伝播が盛んに行われること(関東以南ではブタの約80%が感染しています)、東南アジアで毎年数万人規模の流行を生じていることから、過去の病気とは言えません。
Q5 日本脳炎の症状は?
A5 突然の高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどを主徴とします。死亡率は20~40%です。生存しても神経学的後遺症を高率に残します。脳炎を発症するのは、感染者の100~1000人に1人です。脳炎以外では、無菌性髄膜炎も起こします。
Q6 人から人に感染しますか?
A6 日本脳炎ウイルスに感染したブタを蚊が吸血し、その蚊に人が刺されることで感染します。人から人に直接うつることはありません。
Q7 日本脳炎ワクチンを接種する必要はありますか?
A7 国(厚労省)は平成22年4月に接種の勧奨を再開しました。当院におきましても、ワクチンを接種して免疫を獲得することをお勧めいたします。
Q8 標準的な接種の方法は?
A8 第一期は3歳から7歳6ヶ月までに3回(初回は1~4週間隔で2回、追加は初回終了後1年経過して1回)、第二期は9歳以上13歳未満で1回です。計4回の接種を要します。ただし接種機会を逸した方が大勢いるため、「20歳未満までに、計4回のうち残り回数を接種できる特例」が平成23年6月から開始されました。特例の対象は、平成7年6月1日から平成19年4月1日生まれの方です。第一期と第二期(3回目と4回目)の間隔はおおむね5年と定められていますが、20歳未満までに5年をあけられない場合は、より短い間隔(最低1週間)で接種できます。予診票が届かない年齢層もありますので、詳細は居住地の市役所にお問い合わせください。

追記(2012年11月12日)
Q9 日本脳炎ワクチンを接種した直後の死亡例が報告されました(2012年10月17日)
A9 亡くなった10歳男児は、致死性不整脈を起こしうる薬剤3種類(本来は併用してはならないもの)を服用していました。注射以外にもストレス、不安などあらゆる刺激が心肺停止の原因になり得ました。厚生労働省の専門家委員会において、日本脳炎ワクチン自体の問題ではないと判定されています。