Q1 舌の上全体が白くなって、拭いても取れません。治療は必要ですか?
A1 多くの場合、母乳やミルクの成分が固まって舌のシワに入り込んだものです。ときどきガーゼで拭いて清潔を保ちましょう。体調が良くない時、口の中に元々いるカンジダ(カビの一種)が増えて舌を覆うことがあります。カンジダに毒性はほとんどないので、心配はいりません。口の中を清潔にするだけで健康な舌に戻ります。
Q2 歯がなかなか生えてきません!?
A2 早い子は生後4ヶ月で、遅い子は1歳の誕生日を過ぎて初めての歯が生えます。平均すると生後8ヶ月です。1歳半で歯が生えていなければ、小児歯科の診察を受けましょう。
Q3 歯の生える順序に決まりはありますか?
A3 まず下の真ん中の2本、続いて上の真ん中の2本、その両脇 … の順序で生えますが、子どもによって順序が入れ替わることはよくあります。心配いりません。
Q4 前歯がねじれて生えていて、隙き間もあります。矯正は必要ですか?
A4 最初に生える下の2本の前歯は、しばしばねじれたり離れたりします。異常ではありません。また、乳歯には隙き間があるのが普通です。乳歯よりも大きい永久歯が生えるためのスペースが用意されているとお考えください。3歳以下で矯正することはありません。
Q5 噛み合わせが悪く、受け口のように見えます。矯正は必要ですか?
A5 奥歯がまだ生えていないか、生えていてもまだしっかり噛み合っていない時期は、下あごを前に突き出す動きがよくあります。異常ではありません。噛み合わせの治療は3歳を過ぎてから考えれば十分です。
A6 舌小帯短縮症あるいは舌癒着症といわれ、手術を勧められました!?
A6 「舌癒着を治さないと、呼吸障害や哺乳障害が治らない、突然死の危険もある」との触れ込みで手術を勧める医師の一派が存在します。しかし日本小児科学会は、治療の必要性と効果について医学的根拠がないことから手術の正当性を全否定しています。筆者(玉井)も日本小児科学会の立場に立ちます。もしも手術を勧められた場合、急いで同意せずに、信頼できる耳鼻咽喉科医または小児科医に見解(セカンド・オピニオン)をお尋ねください。
Q7 ときどき歯ぎしりをしますが、歯並びに影響はありませんか?
A7 前歯が数本生える時期に、上下の歯をこすり合わせて音を出すことはよくあります。将来の歯並びに影響ありませんので、そっと様子を見守るだけでよいでしょう。
Q8 歯磨きはいつから始めればいいですか?
A8 最初の歯が生えた時から始めましょう。歯の数が少ないうちは、ガーゼなどで歯の汚れを拭き取るだけで十分です。歯が上下8本くらい生えたら、歯ブラシを使うといいでしょう。
Q9 歯磨きを素直にさせてくれません!?
A9 子どもは口の中をゴシゴシこすられることを嫌がります。また、歯磨きの大切さをまだ理解できていません。歯磨きは楽しい雰囲気の中で遊びの延長として要領よく行いましょう。親子のスキンシップの一つと考えるとよいと思います。
Q10 上の前歯の間に帯状の盛り上がりがあります。これは何?
A10 上唇小帯といいます。傷つくと出血しやすいので、歯磨きの際に注意しましょう。もしも永久歯の歯並びに影響するようであれば、後々に切除を考慮します。
Q11 乳歯の虫歯を放っておいてはいけませんか?
A11 乳歯の虫歯の進行はとても早いです。放っておくと痛みや腫れを起こします。また、乳歯に虫歯が多かった子どもは、永久歯も虫歯になりやすいことが分かっています。
Q12 夜、寝る前に授乳したら、歯磨きをしないといけませんか?
A12 睡眠中は唾液があまり出ないので、歯についた糖分が残ってしまいます。虫歯の原因になるので歯磨きが必要です。
Q13 よだれの多さが気になります!?
A13 よだれは歯の生え始める頃から多くなり、2歳すぎに目立たなくなります。よだれが出なくなるのではなく、上手に飲み込めるようになるためです。よだれがなかなか止まない時は、鼻の病気(慢性鼻炎、アデノイド肥大など)がないか耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。
Q14 乳歯がすべて生えそろうのは何歳ですか?
A14 個人差が大きいですが、大部分の子は3歳半までに20本すべてが生えそろいます。
Q15 転んだ時に歯をぶつけました。出血してグラグラしています!?
A15 すぐに小児歯科を受診しましょう。また、転んだ直後は大丈夫でも、数日後に歯が変色したり歯ぐきが腫れる時も、小児歯科に行くべきです。もしも歯が抜けてしまった場合、水道水でさっと洗って牛乳に浸けて小児歯科に急いで行ってください。元に戻せることがあります。
Q16 おしゃぶりは歯並びに影響しますか?
A16 2歳半から3歳を過ぎても使用を続けていると、歯並びと噛み合わせが悪くなります。おしゃぶりはできるだけ使用しない方がよいですが、もしも使用する場合でも、言葉を覚える1歳を過ぎたらおしゃぶりを常時使用しない、遅くとも2歳半までに使用を完全に中止する、の二点を必ず守ってください。