昨年8月にホームページに掲載した「おしゃぶりは必要? 不要?」の補遺版として、指しゃぶりの必要性についてもまとめました。平成18年4月に日本小児科学会から発表された「指しゃぶりについての考え方」をもとに、筆者の考え方を一部書き加えて皆様にお伝えいたします。
乳児期:生後12ヶ月頃までの指しゃぶりは、発達過程における生理的な行為です。指にかぎらず何でも口に入れて、形や味や性状を確かめようとします。これを無理にとめる必要は全くありません。赤ちゃんの好奇心を大切に育てたいですね。
幼児期前半(1歳から2歳まで):立ったり歩いたり、あるいは玩具を使って遊ぶようになると、指しゃぶりの頻度は減少します。退屈なときや眠いときにはまだ指しゃぶりをしますが、この時期はあまり神経質にならずにそっと見守りたいものです。ただし、一日中あまりにも頻繁にしている、指に吸いダコができるほどしている、などが気になれば、小児科医や小児歯科医や臨床心理士に相談する手もあります。
幼児期後半(3歳から就学前まで):子どもが親から離れて友達どうしで遊ぶようになると、指しゃぶりは自然に消失します。5歳を過ぎるとほとんど見られません。この時期に頻繁に指しゃぶりをしていると、歯並びや噛み合わせに大きな影響が出ます。また、指しゃぶりがやめられない背景として親子関係や生活環境に問題があるかもしれません。小児科医や小児歯科医や臨床心理士に積極的に相談しましょう。
学童期(小学校入学後):この時期に指しゃぶりに固執している子、あるいはやめたくてもやめられない子は、小児科医や臨床心理士による助言と治療を必要とします。ぜひ、早めにご相談ください。
指しゃぶりは3歳頃までは禁止する必要はありません。保護者は温かく見守ると同時に、指しゃぶりの卒業に向けた準備も少しずつ進めていきましょう。具体的には、① 一日の生活リズムを確立すること(早寝早起きが理想)、② 昼間の遊びで手を使うことを楽しませて、さらにエネルギーを発散させること、③ 寝つく前のスキンシップを図ること(手を握ったり絵本を読み聞かせるなど)が有効でしょう。