2020年5月10日

食物アレルギーの子どもに理解と支援を

 食物アレルギーは、食物に含まれる成分が体内で有害な異物と誤認されて免疫反応が起こり、生体に不都合な症状(蕁麻疹、咳、嘔吐、アナフィラキシーショックなど)をきたす病気です。免疫は本来、生体にとって有害なもの(病原体、がん細胞など)を排除する機能ですが、ここに不具合を生じると食物アレルギーを発症することがあります。

 食物アレルギーは子どもに多く、加齢とともに減少します。乳幼児における卵、乳、小麦、大豆のアレルギーは、8〜9割の人が5〜6歳までに軽快します(”耐性を獲得する” といいます)。逆にいうと、1〜2割の人は耐性を獲得できません。また、ナッツ類、ソバ、甲殻類、魚介類、果物類は、耐性を獲得しにくい食物です。以上のことから、保育所・幼稚園や小中学校で、食物アレルギーに悩む子どもの数は少なくありません。

 食物アレルギーの治療の原則は、原因となる食物を除去することです。アレルギー症状の重症度に応じて、完全除去食から簡便除去食(加熱処理、加工品、低抗原化食品は摂取可とする)まで、医師の判断により除去の範囲が決定されます。アナフィラキシーの既往があり完全除去が必要な場合を除き、「食べられる範囲内で少しずつ食べる」ことが耐性を獲得するために大切とされています。

 食品の中から特定のものを除去しなければならない、それも日常的に高頻度に使用されるものを制限することは、思いのほか大変です。加工食品を食べる際、アレルギー物質である「特定原材料7品目とそれに準じる21品目」が含まれていないかどうか、一つ一つ表示を見て確かめなければなりません。店頭で計り売りされる総菜やパンには特定原材料の表示義務がなく、さらに注意が必要です。

 日々の三度の食事だけでなく、友だち付き合いや集団生活(保育所・幼稚園、学校)における苦労も並大抵ではありません。友人宅で供される食物(おやつなど)にアレルギー食品を含めないように、友人(および保護者)に説明しなければなりません。保育所・幼稚園では、給食への対応を相談する必要があります。多くの保育所・幼稚園は子どものために正しく丁寧な対応をしてくれますが、無知で杜撰な対応をする所も稀にあります。「血液検査をしないと給食を出せない」は、不適切な対応の典型例です。周囲の人々の正しい理解と温かい配慮がなければ、食物アレルギーを持つ子どもは辛い思いをします。食物アレルギーに関しても、バリアフリーの世の中にしていきたいですね。

 食物アレルギーの子どもが安心して食べられる製品を開発・提供している食品メーカーがあります。筆者の友人が社長を務める東北日本ハム(株)は、特定原材料7品目(卵、乳、小麦、エビ、カニ、そば、落花生)を使わない「みんなの食卓」シリーズを販売しています。ハム、ソーセージ、ベーコン、ハンバーグ、食パン(米粉パン)を試食させてもらいましたが、いずれも味は上々でした。他にも、永谷園、ハウス食品、オタフクソース、エスビー食品、イオンなどが、食物アレルギー対応の製品を販売しています。「NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク」に13社の食品カタログが紹介されていますので、ご関心のある方はぜひ御覧になってください(https://www.atopicco.org/data/2018catalog.pdf)。ついでに「日本ハムお届けネット」の宣伝もさせていただきます(http://www.nipponham-eshop.jp)。

 食物アレルギーで悩む子どもの食生活を豊かにするために、そして「みんなで一緒に食べる喜び」を分かち合うために、努力している人たちが大勢います。食物アレルギーの認知と正しい理解を社会全体に広げるために、われわれ小児科医も情報を発信し続けたいと考えています。

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