2020年4月5日

新型コロナウイルス感染症への対応(第8報)

 新型コロナウイルス感染症をめぐる情勢が急展開中です。都市部を中心に感染者が急増しています。クラスター(集団)感染が次々に報告される一方、感染源が分からないケースも増加しています。クラスターの発生は主に若年層の行動に起因しますが、最近は中高年層にも増えています。会合・集会(カラオケ、ライブハウス、バーなど)、海外への卒業旅行、サークル活動(ダンス、合唱など)、病院内感染、高齢者・福祉施設内感染などがクラスターの発生箇所です。感染をこれ以上拡大しないために、「3つの密」(換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話や発声をする密接場面)を避けるための取り組み(行動変容)を、より強く徹底する必要があります。国民ひとりひとりの自覚が大切です。とくに若年層の人たちは、「感染しても自分は軽く済むから大丈夫」と考えずに、自分が感染することが家族や友人などコミュニティ全体に影響を及ぼし、その結果として重症化しやすい人たち(高齢者、基礎疾患保有者)を死に至らしめる可能性があることを知ってもらいたいと思います。海外では人どうしの間隔を2メートルあける「ソーシャル・ディスタンシング」が推奨されています(2メートルは飛沫が届かない距離です)。日本でも若年層の人たちに率先して広めてもらいたい取り組みです。

 「コロナ疲れ」なる造語があります。新型コロナウイルスの流行の先行きが見通せず、外出の自粛と自宅待機が長期化する中で、心身の不調を訴える人が増えています。ぜひ意識していただきたい点は、不確かな情報に振り回されないこと。テレビのワイドショーや怪しげなインターネットの情報は切り捨てましょう。筆者(玉井)の情報源は、学術団体(日本小児科学会、日本環境感染症学会など)と公益団体(日本医師会など)と公的機関(厚生労働省、国立感染症研究所など)と信頼する医師(山中伸弥教授のブログなど)です。あとはNHKニュースの最初の15〜20分間を見るくらい。朝から晩までテレビやネットに釘付けにならないでください。さいわい、人のまばらな屋外(2メートルの距離を保てる場所)でのウォーキングやジョギングは問題なしとされています。日ごろ「時間がない」「忙しい」という理由で実行できていない人にとって、身体を動かす好機です。ゆっくり歩いたり軽く走ったりしながら、春の到来を感じてください。屋内でも、今まで出来なかったことに挑戦してみましょう。体操、工作、手芸、楽器、パズル、読書など楽しめる時間を作り、心の健康を保ちたいものです。ただしゲーム漬けは駄目ですよ。自宅にいる時間が増えることは、家族の絆を強める絶好の機会でもあります。先にあげた活動を家族で共有することにより、家族間のコミュニケーションが高まることを期待します。災いを福に転じる強い心を持ちたいと思います。

 「新型コロナウイルスに対してBCGワクチンが効く?」という噂について解説します。話の出所は、BCGワクチンが定期接種化されている国(日本、韓国、香港、シンガポールなど)に感染者や死亡者が少なく、接種されない国(欧米諸国の大部分)に多いという疫学データです。この仮説が本当であれば素晴らしいことですが、それを判断する材料はまだまだ足りていません。日本ワクチン学会の見解は、(1) 事の真偽は科学的に確認されておらず、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない、(2) BCGワクチン接種の効能・効果は「結核予防」であり、新型コロナウイルス感染症の予防を目的とはしていない。ワクチンの主たる対象者は乳幼児であり、高齢者の接種に関わる知見は十分とはいえない、(3) 本来の適応と対象に合致しない接種が増えることで、乳児へのBCGワクチンの安定供給が影響を受ける事態は避けなければならない、です。筆者はこの見解に賛成です。複数の国でBCGワクチンによる予防効果の有無を見る研究が動き始めているので、その結果を待ちましょう。くれぐれも、「自分はBCGワクチンを接種しているから大丈夫」と勘違いして軽率な行動に走らないでください。感染予防の基本は「咳エチケット」「手洗い」「3つの密を避ける」であり、その重要性は不変です。

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