2018年5月23日

インターネットの医療情報は信用できるか?

 インターネット(以下、ネット)の普及により、医療情報が簡単に入手できる時代になりました。健康や病気に関する情報を得たいとき、ネットは便利で有用な手段です。しかし、ネットの医療情報はどこまで信用できるでしょうか。実際にネットを検索してみると、胡散臭いサイトがあれこれ出てきます。IT大手企業のDeNAが運営していた「WELQ」が出鱈目な医療情報を流して閉鎖に追い込まれた事件(2016年)は、ネットは必ずしも真実を伝えない(ウソも多い)という教訓を社会に投げかけました。

 ネットの医療情報には、正しいものも正しくないものもあります。玉石混淆という言葉がありますが、多くの石ころの中に少しの玉が埋もれているのが現状です。では、何をもって正しいとか正しくないとか判断できるでしょうか。出所がはっきりしている情報、中でも公共の医療機関(国立○○病院、県立○○医療センターなど)、公的な教育・研究機関(○○大学、日本○○学会など)、官公庁(厚生労働省、○○市役所など)から出される情報は、組織としての責任が重視されているため、偏りや誤りがほぼ排除されていると考えてよいでしょう。ただし個人的な発信の可能性もありますので、組織の総意を反映した内容かどうかを見極めることは必要です。民間の中でも、チェック機能がしっかり働いている組織(たとえば当院のホームページにリンクしている「VPDを知って、子どもを守ろうの会」など)は、質の高い情報を発信しています。

 逆に、信用できない情報とは、個人の独断や偏見にもとづいて(科学的な根拠や裏付けがないままに)書かれた情報です。科学を真っ向から否定する情報は、比較的容易に誤りであることがわかります。たとえば、○○を食べるだけで癌が治った、○○は霊的なトラブルが原因、などと書かれていれば、誰だっておかしいと気づくでしょう。しかし、中には医学的な正当性を巧妙に装った情報(他人を騙すための情報)も存在します。多くの医療情報の正否は、一般の人々には判別が困難です。信用できるかどうかを見分けるコツは、ノーチェックで掲載されているネット情報はとりあえず怪しいと思え!です。とくに、情報提供者の主体が明らかでないもの(誰が書いたか分からないもの)、情報の根拠や引用先が曖昧なもの(世間の風評やテレビ番組も同レベル)、情報の裏に物品販売などの営利目的が潜んでいるものは要注意です。眉に唾をつけて読む方がよいです。批判的思考(critical thinking)という言葉があります。与えられた情報を鵜呑みにせず、健全な批判精神をもって内容を吟味する姿勢を持ちましょう。

 公共の医療機関が発信する情報(組織のチェックが入ったもの)はおおむね信用できると先に述べました。では、個人のクリニック(開業医)のホームページに書かれた医療情報はどうでしょうか。公共の医療機関が大勢の医師の一致した意見を載せているのに対し、個人のクリニックは開業医の個人的な意見を載せています。その点で、信頼度はワンランク下がります。ただし、開業医は日頃の診療で患者さんと直に接しています。診療に取り組む真面目な姿勢、安心と納得のいく説明と治療など、その医師の人柄と腕前が分かっていれば、ホームページの記述も信用してよいでしょう。どうか、信頼できるかかりつけ医(開業医)を持ってください。かかりつけ医は目の前の子どもに寄り添い、子どもの健康を守り、子どもの未来を真剣に考えます。診療行為に対する責任もあります。ネットはそのようなことをしませんし、情報に関する責任をいっさい負いません。かかりつけ医の言葉は、数多あるネットの医療情報よりも上位にあると言えます。

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