2016年10月26日

予防接種を上手に受けるコツ

 近年の小児医療は「治療から予防へ」と大きな転換期に入っています。予防接種の種類が増加したことに反比例して、重い感染症に罹患する子どもの数が大幅に減少しました。たとえばヒブ髄膜炎は、2011年にワクチンが定期接種化されて以来、ほぼゼロになりました(それ以前は毎年50人前後の子どもが亡くなっていました)。予防接種は今や、子どもの健やかな成長に欠かせない重要なアイテムです。しかし子どもにとっては、痛い注射の本数や回数が増えるのは大変なこと。特に1〜2歳を過ぎて物事がはっきり分かる年頃になると、注射を怖がったり嫌がったりして親御さんを困らせることもしばしばです。今回は、注射を上手に受けるコツを伝授しましょう。

[1] 注射することを事前に伝えよう
 「いつものようにモシモシだけと思っていたら、いきなりチックンされた」… 子どもは騙された気持ちになります。親や医療者への不信感が芽生えて、次回の受診に差し障りが出るかもしれません。当日の朝でいいので、注射を受けに行くことを伝え、なぜ注射しなければならないかを子どもが理解できる言葉で説いてください。

[2] お守りを持参しよう
 待合室や診察室で少しでもリラックスできるように、お気に入りの玩具、ぬいぐるみ、絵本などを持参することをお勧めします。注射の際に玩具を握りしめていても構いませんよ。

[3] 頑張ったらうんと褒めてあげよう
 「痛くないよ」は嘘になります。「痛いけど頑張ろうね。お母さんが付いているよ」と優しく励ましてください。痛みに寄り添って、頑張る気持ちに共感を示す心が大切です、「三つ数えたら終わるよ」と予告するのもいいでしょう。注射を終えたらうんと褒めてあげてください。ご褒美をあげることもオーケーです。当院はシールや塗り絵を差し上げていますが、親御さんも子どもが喜ぶものをご用意なさるといいでしょう。ものでなくても、以前から行きたかった所に連れて行くとか、したかったことを叶えてあげるとか、イベント的なこともいいと思います。「泣いたからご褒美なし」は駄目です。注射の際に大泣きしても構いません(大暴れは困りますが)。痛い注射に耐えてじっと動かずにいられたら、たとえ泣いても十分な賞賛に値します。

[4] 脅し文句に注射を利用してはいけない
 「言うことを聞かないとチックンされるわよ」… たまに耳にする言葉です。しかしこれを聞いて快く思う医療者はいません。はっきり言うと腹が立ちます(苦笑)。注射は懲罰のために行うのではなく、子どもの健康を守るために行っています。注射を受けた子供は「言うことを聞いているのになぜチックンされたのか」と困惑し、親や医療者に不信感をいだくでしょう。子どもを叱る手段として注射を利用(誤用、悪用)してはいけません。

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