2009年8月7日

お腹がかぜを引いた時の食事

 急性胃腸炎(お腹のかぜ)にかかって吐いたり下痢した時、どのような食事を与えますか。祖父母の言うこと、育児書に載っていること、医者の言うこと、それぞれ異なるために悩んだ経験をお持ちの親御さんは少なくないと思います。子どもの栄養状態は時代とともに向上しており、食事療法の内容も日進月歩で変わっています。今回のコラムでは、食事療法の変わらぬ基本と変わりつつある応用を解説しましょう。

 お腹のかぜは、しばしば嘔吐で始まります。胃に侵入した病原体を体外に出すための防御反応と考えれば、苦しい嘔吐も何とかやり過ごせるのではないでしょうか。数時間の嘔吐で脱水に至ることはまずありませんので、無理に止めるのではなく、ある程度吐かせてしまう方が早く楽になります。嘔吐が一段落したら(大抵は2~4時間後)、少しずつ水分を与えてください。水分には乳幼児用イオン飲料(アクアライト、OS-1)が適します。スポーツドリンクは代替品としては不適です。詳細はコラム「嘔吐・下痢にまず経口補水療法」をご参照ください。吐き気止めの薬(ナウゼリン)は、吐き気が続いて水分の補給がうまく進まない時に用います。点滴は、吐き気が長引いて水分がまったく摂れない時に行います。ぐったりしている、顔色がよくない、尿量が極端に減っている(1日2回以下)などが目安です。暴れるほど元気な子どもを押さえつけてまで点滴をする必要は全くありません。

 お腹のかぜでは、嘔吐の後にしばしば下痢が続きます。胃から先に進んで腸に達した病原体を体外に出すための防御反応です。したがって、下痢も嘔吐と同じく無理に止めようとしてはいけません。最初の数日間は、善い細菌(ビフィズス菌など)を腸内に届ける整腸剤だけを用います。善い細菌が悪い病原体(ウイルスや細菌)を追い出してくれるんですね。下痢止めの薬は、下痢がひどい時や長引いている時に用います。

 下痢の時に悩むのが食事の進め方でしょう。昔は絶食が勧められていましたが、今は嘔吐がなくなれば下痢があっても、水分に続いて食事を早期に再開すべきとされています。下痢の最中に食事を与えると便の量は当然増えますが、栄養分を補給する方が傷んだ腸管はより早く回復します。もちろん何でも食べてよいというわけではなく、甘すぎるもの、脂っこいもの、繊維質が多いもの、牛乳などを避けた上で、普段から食べ慣れているものを少量ずつ与えましょう。昔とちょっと違うのは、繊維質の多い食品でも、リンゴ、トマト、豆類など、ペクチンを多く含むものは腸管からの水分吸収を促進するので、胃腸炎の時はむしろお勧めということです。リンゴのすりおろし汁は理にかなっているわけですね。母乳は消化・吸収がよく栄養分に富んでいるので、いつどれだけ飲ませても構いません。ミルクの場合、薄める必要はなく、量の制限も不要です。治療用ミルク(ラクトレス、ボンラクト)は、下痢が長引く時だけ用います。主食は、重湯、粥、米飯の順番が昔の標準でしたが、今は食べられるなら米飯で開始してもよいとされています。もちろん重湯や粥の重要性が失われたわけではなく、塩をひとつまみ入れれば米をベースにした経口補水液にもなります。こちらを好む子どもにはぜひ与えてください。下痢が治るにつれて(おおよそ数日から10日間)、食事の内容を徐々に元に戻していきましょう。イオン飲料は、お腹が治れば止めてください。

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